三菱電機は、駐車中の電気自動車(EV)や蓄電池などの蓄電設備と、太陽光発電(PV)や発電機などの発電設備を組み合わせた需要家向けのエネルギーマネジメント技術を開発した。環境意識の高まりから、今後増加するEVを建物の蓄電池として活用し、電気料金単価の変動に連動してEVの充放電スケジュールとPVなどの発電設備の運転を最適化することで、建物の電力コスト削減に貢献する。本技術の適用形態の一つとして、EV普及が見込まれる中国でのフィールド実証実験を、三菱電機自動車機器(中国)有限公司の工場(中国・常熟市)において、2018年11月から三菱電機(中国)有限公司と共同で実施する。
1.EVの充放電スケジュールの最適化計算で、建物の電力コストを5%削減
・電気料金単価、EVの使用予定を入力し、電力需要とPV発電量を予測し、独自のモデルを組み込んだ数理計画法で各発電設備の運転計画やEVの充放電スケジュールを最適化
・建物の敷地内に駐車中の複数台のEVとPVなどの発電設備を連携させ、EVの充放電が可能なPCS※1を用いて、電力系統からの購入電力のピークカット・ピークシフトを実現
・1000人規模の工場の電力量の約10分の1に相当するモデルで、EV 10台を活用したシミュレーションにより、電力コストを1日あたり5%削減できることを確認
※1Power Conditioning System
2.段階的な制御により、EVの使用予定が変わっても電力コストの増加を抑制
・1日数回、24時間先までの充放電計画を策定する「1日計画」、数分周期で数時間先までを策定する「計画補正」、数秒周期で策定する「制御指令」を組み合わせ、系統からの購入電力やEV充電量を監視して、充放電計画と実績のずれを修正
・常に変動するEVの接続・解列※2状態を監視し、接続中のEVのみで最適化をその都度実施する、きめ細かい充放電スケジュール策定により、電力コストの増加を抑制
※2充放電器からEVを切り離すこと