F1を始めとする数々のモータースポーツで勝利してきたレーシングコンストラクターであり、またその中で培った技術を取り入れた市販モデルを開発するブランド、ルノー・スポール(R.S.)。
「もっといいクルマづくり」を目指すガズーレーシングカンパニーが、ニュルブルクリンク24時間耐久レースや全日本ラリーなどのモータースポーツ活動を通じてクルマと人を鍛え、そこで得た知見やノウハウを注ぎ開発した、トヨタの新しいスポーツカーシリーズ「GR」。
両者がそれぞれのBセグメント5ドアハッチバック車をホットに仕立てた2台、「ルノー・ルーテシアR.S.」と「トヨタ・ヴィッツGR」のサイズ、最小回転半径、荷室の広さなどを比較してみよう。
CASE(つながるクルマ、自動化、シェア、電動化)技術の普及・進化が急激に発展する一方、「意のままに操る」という自動車のプリミティブな楽しさを追求したホットハッチも近年、各メーカーが続々ニューモデルを投入し力を入れ始めている。
その中で、ベース車のデビューが比較的古参な「ルノー・ルーテシアR.S.」と「トヨタ・ヴィッツGR」、果たしてそのサイズの違いは? 両車とも日本仕様のスペックで比べてみた。
ルノー・ルーテシアR.S. 全長×全幅×全高:4105×1750×1435mm ホイールベース:2600mm トレッド:フロント1500/リヤ1505mm
トヨタ・ヴィッツGR 全長×全幅×全高:3975×1695×1490mm ホイールベース:2510mm トレッド:フロント1465/リヤ1450mm
ヨーロッパ、特に本国フランスが圧倒的な主戦場となるルーテシアは、Bセグメント5ドアハッチバック車の中でもいち早く、2005年デビューの先代3代目から全幅1700mm超の幅広サイズとなっている(現行4代目の本国デビューは2012年)。
一方で欧州(ヤリス)のみならず日本市場の比重も高いヴィッツは、2010年デビューの現行3代目においても5ナンバーサイズを堅持。全長も4m未満に抑えられており、全高以外はルーテシアより一回り小さい。日本の道路環境で使い勝手に優れるのは無論後者だ。
ルノー・ルーテシアR.S. 最小回転半径:非公表
トヨタ・ヴィッツGR 最小回転半径:5.6m
ルノーはルーテシアR.S.の最小回転半径を公表していないが、設定タイヤサイズは最も大人しい「シャシースポール」でも205/45R17、よりハードな「シャシーカップ」「トロフィー」では205/40R18(写真)と大きい。全幅が55mm広く前輪の最大切れ角を確保しやすいディメンジョンであることを考慮しても、最小回転半径は5mを優に超える可能性が高い。
ヴィッツと共通のプラットフォームを用いるトヨタのB・Cセグメント車は、16インチ以上のタイヤ&ホイールを装着する仕様になると最小回転半径が急激に悪化し、5mを大きく超える悪癖があるのだが、205/45R17タイヤを装着するヴィッツGRもその例外ではない。
ルノー・ルーテシアR.S. 荷室開口部:幅1038mm/高さ550mm
トヨタ・ヴィッツGR 荷室開口部:幅1080mm/高さ800mm
全高が1435mmと低いうえリヤバンパー上端が高くルーフ後端の落とし込みも大きいルーテシアは、背の高い荷物を積むにはやや不向き。ただし奥行きと容量は後席使用時で649mm/300L、後席格納時で1388mm/1146L確保されている。
対するヴィッツは、ホンダ・フィットや日産ノートよりも居住性・ユーティリティ重視の性格ではないながら、ルーテシアと比較すれば荷室の開口部は大きめ。ただし両車とも、後席を倒した際に大きな段差が生じるため、サイズの大きな荷物を積むのには適していない。