いまや世界が注目する大人気ワンメイクレース、マツダ・グローバルMX-5カップ。10年ぶりに米国レースに復帰したレーサー鹿島がフル参戦し、内側からシリーズの魅力、盛り上がりの秘密を体感した。前編、後編に分けて、5大ニュース形式でお伝えする!
TEXT:レーサー鹿島(RACER Kashima)
PHOTO:マツダ・グローバルMX-5カップ(MAZDA GLOBAL MX-5 CUP)
【ニュース1】20歳の年間チャンピオンに、2200万円が!
2016年にアメリカで先行して始まり、昨年から日本でも開催されているマツダ・グローバルMX-5カップは、MX-5(日本名:ロードスター)を使用したワンメイクレース。レースカーはノースカロライナ州のファクトリーで製作され、イコールコンディションが徹底されている。つまり、勝つか負けるかはドライバーのモチベーションとテクニック次第である。
今季の米国シリーズは、テキサス出身のニッコー・リーガー(20歳)が制し、20万ドル(約2200万円)のスカラシップを獲得。この奨学金は翌年のレース活動にのみ活用できるもので、ステップアップを目指す若手ドライバーにとっては非常に大きな金額である。
また、トップドライバー育成システム「MAZDA ROAD TO 24」のドライバーとして、米国マツダのモータースポーツディレクターが、参戦レースやチームの選択を手伝ってくれることも大きなポイントである。
最終戦までもつれ込んだチャンピオン争いを制した後の表彰式でリーガーは「自分のレーサー人生、未来にとってとても大きな意味を持つタイトルを獲ることができて、言葉では表現できない喜びだ」と目を輝かせながら語った。
【ニュース2】14歳の中学生レーサーが優勝!
7月にミッドオハイオ・スポーツカーコースで開催されたマツダ・グローバルMX-5カップ米国シリーズ第7戦は、ペンシルヴァニア出身の14歳のルーキー、ロバート・ノーカーが優勝し、シリーズ最年少優勝記録を打ち立て大きな話題となった。12歳でフォーミュラカーでのトレーニングを開始したノーカーは、14歳から参戦可能な米国シリーズ(※)に挑戦しながらプロドライバーへの道を模索している。
予選15位からスタートしたノーカーは着々と追い上げて、最終ラップのゴール直前にアルゼンチン出身のベテラン、ハーナン・パレルモ(44歳)を抜き去って優勝、“年の差30歳バトル”と実況アナウンサーが絶叫、ライバルからの祝福に包まれた。
レース後、多くのベテランドライバーが「定石にとらわれない、“どこからでも抜きにかかる”思い切りのいい走りが素晴らしい」と語ったように、中学生レーサーの躍進はシリーズ全体に刺激を与えた。
また、私が所属するコープランド・モータースポーツには、ふたりの14歳ドライバーから来季の参戦に関する問い合わせがあり、どうやらひとりは参戦が決まりそうである。米国シリーズでは来季はさらに新しい風が吹き、シリーズが一段と盛り上がりそうだ。
※編集部注
マツダ・グローバルMX-5カップ米国シリーズは若手ドライバーの育成を目的に、ある一定の技量とキャリアを持ち、主催者が認めた者は運転免許証取得前の14歳から参加可能となっている。一方の日本シリーズにはその制度がないため、18歳以上で運転免許証とJAF国内競技Aライセンスが必要となる。