米デュポンが2012年に売却した塗料部門を継承する米アクサルタコーティングシステムズは10月17日、最新の自動車カラートレンドに関する説明会「アクサルタ・カラーショー2018」を都内で開催。このために来日した本社グローバル・カラー・マーケティング・マネージャーのナンシー・ロックハート氏はプレゼンテーションの中で、LiDAR反射塗料を開発中であることに加え、植物由来マゼンタ顔料や遮熱塗料も提案中であることを公表した。
PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
自動運転技術が今後進化していく中で、LiDARがセンサーの一つとして普及していくものと見込まれている。このLiDARは距離を測定するため、一般的には905~1600nmのパルスレーザー光を用いているが、ボディカラーによってその反射率が異なるのだという。
具体的には、ボディカラーがソリッドの白の車両は、正面でも斜め前方にいてもLiDARの光をキレイに反射するため検知しやすい。だが黒の車両は光を吸収するため反射光が弱くなり、LiDARが検知しにくい傾向にある。
そのため将来的には、LiDARに検知されにくい黒系の色は事故を起こしやすいため敬遠され、検知されやすい白系の色が多く選ばれる可能性があると、ロックハート氏は指摘している。
そのほか、自然を好み環境に関する意識が高い「高意識的(Be Conscious)」グループに属するハイブリッドカーや小型セダンのユーザーをターゲットとして、植物由来で環境に優しくCO2排出量を削減できる、マゼンタ顔料を自動車メーカーに提案中。
合わせて、近赤外線をよく反射する色の日射反射率をさらに高める遮熱塗料を開発。近赤外線を吸収することによる室温上昇を抑え、暑い日のエアコン負荷低減を提案していることも明かしている。
これまで塗装の目的は素材の保護や外観の向上・識別が主となっていたが、今後自動車のボディカラーにおいては安全性向上や環境負荷低減といった機能も求められていく。そんなことを予感させるプレゼンテーションとなった。