レクサスは10月24日、フラッグシップLSとともにブランド初期からラインアップされていた歴史あるモデルESの新型を発表。同日から全国レクサス店を通じ発売を開始した。
レクサスESは上質な乗り心地や静粛性、広い室内空間といった魅力で米国市場をはじめとする各国の市場で好評を博してきた。かつてはトヨタ・ウインダムとして日本市場でも販売されていたが、レクサスESとしては今回の7代目が日本で初めて販売されることになる。
新型ESは、原点と言える「上質な快適性」をさらに進化させるべく、低重心なGA-Kプラットフォームを採用。流麗かつ引き締まったエクステリアと広く快適な室内空間を両立したほか、新世代レクサス独自のコンセプトに基づく、ドライビングの高揚感とくつろぎの空間を融合したインテリアを実現している。さらに量産車として世界初採用のデジタルアウターミラーを備えていることも大きなトピックだ。
GA-Kプラットフォームがもたらす重心の低さを最大限に活用し、走りを予感させるワイド&ローのプロポーションを実現。フロントピラーの後方配置やリヤピラーの傾斜で、まるでFRレイアウトのような流麗なノーズと引き締まったキャビンシルエットを実現した。
インテリアはレクサスならではの人間を中心とした空間コンセプトに基づき、程よい包まれ感でドライビングの高揚感を高めるコクピットと、乗客がくつろげるゆとりある空間を融合させた。前席シートバックはステアリング操作がしやすいショルダー形状としたほか、ディスプレイやスイッチ類を操作時の姿勢変化や視点移動が少ないようにレイアウトしている。
水平基調のインストルメントパネルからドアトリムまで連続する構成により、空間の広がりを表現。ドライビングポジションはペダル配置とステアリングの傾角や調整幅、シートのホールド性などを吟味し、細部にこだわった設計がなされた。
日本仕様のパワートレーンは、新世代のAR25A-FXS型2.5ℓ直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドのみとなる。エンジン本体の吸気効率の向上や燃焼室内の気流強化による高速燃焼で、世界トップレベルの熱効率を実現し、JC08モード燃費で23.4km/ℓの優れた燃費性能を実現するとともに、高い動力性能とレスポンスの良さを両立した。
ボディサイズは全長4975mm、全幅1865mm、全高1445mm。ホイールベースは2870mmで、車両重量は1680kg〜1730kgとなる。グレードは3タイプが用意され、ベーシックなES300h(580万円)、ESとしては歴代で初の設定となるES300h“F SPORT”(629万円)、最上級のES300h“version L”(698万円)というラインナップだ。
新しいFメッシュパターンを採用したグリルや19インチアルミホイール、専用のシート、ステアリング、メーターなどを装備する “F SPORT”は、運転操作に忠実でよりスポーティな走行性能を狙い、きめ細かな減衰力制御を行なうリニアソレノイド式AVSを採用し、パフォーマンスダンパーも車体の前後に配置してボディ剛性のバランスを向上。極めて優れた操縦安定性と上質な乗り心地を実現した。
量産車として世界初となるデジタルアウターミラーは、フロントドア外側のカメラで撮影した左右後方の映像をAピラー根本部に設置した5インチディスプレイに表示。カメラ部を雨滴が付着しにくい形状とし、ディスプレイを室内に搭載することで天候の影響を受けにくい優れた視認性を確保している。従来のミラーを小型カメラに置換することで斜め前方の見通しを改善するとともに、風切音も低減して高い静粛性も実現した。このデジタルアウターミラーは最上級の“version L”のみにオプションで用意されており、価格は21万6000円となる。
ここからは本日行なわれた発表会の模様をお伝えしよう。レクサスインターナショナルの澤プレジデントは、「レクサスESはこれまで全世界で220万台を販売してきた。この新型ESはビジネス、ファミリーで過ごす時間、それらすべてを満足させる欲張りなクルマです」とコメント。同社の豊田社長がレクサスブランドの価値づくりに直接関与している、とも発言した。
続いて開発の指揮を取った榊原チーフエンジニアは「たとえば新品のシャツに腕を通したときなど、日常生活でのトキメキを感じさせるようなクルマに仕上げました。デザイン、走りを含めてこうした価値観を大事にして開発しています」と語っている。