たかが自転車と侮るなかれ。自転車による交通事故の増加で、平成27年に自転車に関わる法律(道路交通法)が改正され、悪質な運転や危険な事故に対する厳罰化や、軽微な違反であっても繰り返すと講習を受ける義務が発生すること等が追加されたのはごぞんじのとおり。
が、自転車の交通違反に関しては、例えば、よく見かける信号無視などの、自動車では軽微と見なされる違反をした時に、なんと、自動車より重い罰が科せられる可能性があることを知っている人は、たぶん少ないのでは? というわけで、自転車で交通違反をしたらどうなるかを今さらながら勉強しておこう。
自転車による交通違反で検挙されると、もれなく赤切符を頂戴することになる?
自転車は、道路交通法では「軽車両」と規定されている。つまり、免許がなくても乗れる乗り物であっても、違反を犯せば自動車や自動二輪、原付バイク等の「車両」と同様に、きっちり道路交通法が適用されるというわけだ。
ところが、「車両」による信号無視や一時停止違反等の軽微な違反には「交通反則通告制度」、いわゆる反則金制度が適用されるのだが、なんと、以下の通り「軽車両」は適用外となる。検挙されても、反則金を納付すれば無罪となる青切符とは違い、もれなく罰金刑につながる赤切符をもらうことになるのだ。裁判所に出頭しなければならなくなる。さらに、起訴され略式裁判を受けた後、有罪となれば犯罪者となり、罰金を科せられ、立派な(?)前科者になってしまうのだ!
第9章 反則行為に関する処理手続の特例
第1節 通則
(通則)
第125条 この章において「反則行為」とは、前章の罪にあたる行為のうち別表の上欄に掲げるものであつて、車両等(軽車両を除く。次項において同じ。)の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
自転車での違反は自動車の免許には転嫁されません!
ちなみに、その罰則だが、各都道府県の条例によっても違うので、全国一律ではない。例えば信号無視の場合、「車両」は反則金6,000~12,000円&基礎点数2点に対して、自転車は「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」となる。罰金は裁判官の判断によるので様々だが、実際の相場は5,000円と言われ、金額そのものは「車両」より少ないものの、判決を受けるまでの手間や否応なく前科が付くという意味では、「車両」より重いと言ってもいいだろう。
ただし、それはあくまでも原則。交通の現場では、軽微な違反であれば、警察官によほど悪質、あるいは常習犯と見なされない限り、いきなり赤切符を切られることはない。ほとんどの場合、「注意」で済まされているようだ。また、例え切符を切られたとしても検察で起訴猶予となるケースも多い。そうなれば晴れて無罪放免となる。
また、巷でよく言われている、違反をした人が「車両」の運転免許を持っていた場合、基礎点数がつくということに関しては、全くの事実無根。自転車を含む「軽車両」には点数制度そのものがないので、点数のつけようがないからだ。それでも自転車での違反で免許停止になったとういう事例がないことはないのだが、それはたぶん、悪質な違反を犯し、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」危険性帯有者(道路交通法第103条8号)と見なされたのだろう。
とは言っても、「たかが自転車」となめてると、思わず痛い目を見る可能性があることは覚えておきましょう!