今、普段使いの快適さと速さを追求した走りを両立するスポーツハッチバックが 熱い。VWからGTIのバッチを付けた3モデルが続々登場。その中でもポロGTIとup! GTIの2台の走りの魅力にフォーカスして紹介しよう。
TEXT◎吉田拓生(YOSHIDA Takuo)
PHOTO◎平野 陽(HIRANO Akio)
実用性と速さを両立させたポロGTI
GTIというアルファベットが自動車の世界に溢れたのは、末尾の「I」が意味するインジェクションシステムが爆発的に普及し始め70年代半ばのことだった。多くのブランドがその名をこぞって使用したが、自らのDNAにまで昇華させたブランドはVWだけである。
初代ゴルフのスポーティグレードとして追加されたGTIは、ポロやルポといった弟分にまで波及し、ホットハッチの代名詞となったのである。そして今日、新型ポロとup!のGTIモデルが導入されたことで、3モデルのGTIが13年ぶりに勢揃いするという、ナントカ彗星とか皆既月食のような話になっている。中でも注目すべきは、車体も含めて新鮮なポロGTIである。
「誰がどう扱っても速い」というのが歴代VWのGTI全般の印象であり、それは新型ポロGTIにも通じているのだが、具体的なフィーリングはけっこう違う。ダーツに例えれば、これまではとにかく的がデカイ印象だったのだが、新型は一転して的が小さい。けれど距離が近いので誰でもど真ん中に当てられる、そんなイメージだ。的を外す気がしないので、自信をもってコーナーに入っていける。そりゃあ安心して速いわけである。
GTI濃度が最も濃いup! GTI
6年前にデビューしたVW up!の評価は概ね横ばい。その唯一にして最大の要因がいまひとつ賢さに欠けるシングルクラッチ5速ATの存在である。だから今回600台限定で販売されるup! GTIは、GTIであるという以前に、6速MTで弱点を克服したup!としても注目の1台である。 標準の75㎰から116㎰までアップしたエンジンは数値ほどには感銘を受けないが、パワーアップによってポテンシャルを余すところなく使えるようになったシャシーはスバラシイのひと言。
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン・ポロGTI
■ ボ デ ィ サ イ ズ:全 長4075×全幅1750×全高1440㎜ ホ イ ー ル ベ ー ス:2550㎜ ■車両重量:1290㎏ ■ エ ン ジ ン:直 列4気筒DOHCターボ ボ ア×ストロ ー ク:82.5×92.8㎜ 圧 縮 比:11.6 総 排 気 量:1984㏄ 最 高 出 力:147k W(200㎰ )/4400〜6000rpm 最 大 ト ル ク:320Nm(32.6㎏m)/1500〜4350rpm ■トラ ン ス ミ ッ シ ョ ン:6速DCT ■ 駆 動 方 式:FWD ■ サ ス ペ ン シ ョン 形 式:Ⓕ マクファーソンストラットⓇトレーリングアーム ■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッド デ ィスクⓇディスク ■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ215 / 45R17 ■環境性能(JC08モ ー ド ) 燃 料 消 費 率 :16.1㎞/ℓ ■ 車 両 本 体 価 格:344万8000円全長×全幅×全高:3625×1650×1485㎜ エ ン ジ ン:直列3気筒DOHCターボ 最高出 力:85kW(116㎰ )/5000〜5500rpm 最 大 ト ル ク:200Nm(20.4㎏m)/2000〜3500rpm本 体 価 格:219万9000円
フォルクスワーゲン up! GTI
■全長×全幅×全高:3625×1650×1485㎜ ■エ ン ジ ン:直列3気筒DOHCターボ 最高出 力:85kW(116㎰ )/5000〜5500rpm 最 大 ト ル ク:200Nm(20.4㎏m)/2000〜3500rpm ■本 体 価 格:219万9000円