「モダン・ラグジュアリー」を標榜する4代目の新型Aクラスが登場した。アルミと高張力鋼板を多用した最新プラットフォーム「MFA-II」は、新型Aクラスにどのような走りの実力をもたらしているのだろうか? 今年末か来年初頭に登場する本命Cセグメントハッチバックの走りを今一度振り返る。
REPORT◎渡辺敏史(WATANABE Toshifumi)
PHOTO◎Daimler AG
従来のサンドイッチ構造となるFFアーキテクチャーを改め、コンベンショナルなMFA1アーキテクチャーを軸にFFモデルの多車種展開を掲げたメルセデス。その中軸となった先代Aクラスは一定の成功を収め、200万台超というダイムラーの年間販売台数のビジョンにも大きな貢献を果たした。
新型AクラスのMFA2アーキテクチャーはその経験を踏まえただけでなく、業務提携先であるルノー日産との生産合理性も織り込まれて改善された。リヤサスは従来のマルチリンクに加えて新たにトーションビームも開発されたが、これは単に廉価版用というわけではなく、近い将来の電動化に備えバッテリー等の搭載スペースを稼ぎ出すためにも必須の開発メニューだったといえる。
モノコックはアルミやハイテンスチールなどの材料置換を進め静的捻り剛性は先代比で30%の向上、全幅は1800mmに収められるが全長やホイールベースは若干伸ばされており、その余幅は室内空間や荷室容量にもしっかり反映されている。ピラー形状や配置の工夫による死角の低減も新型Aクラスのポイントだ。
新型Aクラスの走りは先代の特徴だったスポーティネスは陰ることなく、快適性の側のポテンシャルを一気に高めている。中でも特筆すべきは静粛性の高さだ。この点は開発陣も先代のウィークポイントと認識し相当手を入れたそうだが、内装の質感も手伝って常速域での上質感はマイナーチェンジ前のCクラスをも食ってしまいそうなところに達している。
同時に触れておくべきは乗り心地の改善だろう。従来のドライなフィードバックは微塵もなく、細かな凹凸は綺麗に丸め大きなロールやバウンドでもだらしなく車体を上下させることはない。高速域での体感的なスタビリティも含め、これならメルセデスらしいライドフィール……と称せるところに達している。
SPECIFICATIONS
メルセデス・ベンツA250エディション1<A200>
■ボディサイズ:全長4419×全幅1796×全高1445<1440>㎜ ホイールベース:2729㎜ トレッド:F1567 R1567<1547>mm ■車両重量:1455<1375>㎏ ■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1991<1332>cc 最高出力:165kW(224ps)/5500rpm<120kW(163ps)/5500rpm> 最大トルク:350Nm(35.7㎏m)/1800rpm<250Nm(25.5kgm)/1620rpm> ■トランスミッション:7速DCT ■駆動方式:FWD ■サスペンション形式:FマクファーソンストラットR4リンク<トーションビーム> ■ブレーキ:FベンチレーテッドディスクRディスク ■タイヤサイズ(リム幅):F&R205/55R17(6.5J)<205/60R16(6.5J)> ■パフォーマンス 最高速度:250<225>km/h 0→100km/h加速:6.2<8.0>秒 ■環境性能(EU複合モード) CO2排出量:149〜141<128〜120>g/km 燃料消費率:6.5〜6.2<5.5〜5.2>L/100km