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ヤマハ・トリッカー大復活で、14年前のデビュー当時をふと懐かしむ。


2017年に排気ガス規制の関係で生産を終了したトリッカーが二輪車平成28年排出ガス規制をクリアし、9月20日に再び発売される。


8月に行われたメディア向けの撮影会でトリッカーと久しぶりに対面した筆者は、その軽さと取り回しの良さ、優秀な足つき性を再確認。トリッカーがデビューした10年以上前の記憶が蘇ってきた。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハ・トリッカー……467,640円

今回ラインナップするカラーバリエーションは2タイプ。写真のモデルはディープオレンジメタリック7。

 初代トリッカーがデビューしたのは2004年。当時のどのカテゴリーにも属さない新ジャンルモデルの投入とあって大きな話題と期待を集めた。イメージの原点には当時アメリカで流行っていたエクストリームスポーツにヒントを得て、バイクを使った離れ業を披露するアクションライディングに適した軽量かつコンパクトなボディ設計を採用した。


 もちろん競技専用車ではなく、そこからインスパイアされたストリートバイクである。デビュー当時のレポートを担当した筆者は「オシャレな都会派SUV!?」と表現したのを記憶している。




 スマートさが際立つフォルムは、斬新なスタイリング。1330mmのホイールベースと当初120 kg(最新モデルは127㎏)の車重はまるで125㏄に跨がるような感覚で誰にも気軽な存在がとても魅力的だった。当初のシート高は790mm。(最新モデルは810 mm)だが、極めてスリムな車体設計のおかげで足つき性は抜群。ステップの上に立つスタンディングスタイルも取りやすい柔軟なライディングポジションが与えられていた。


 小柄なライダーにもとても親しみやすく入門機としてもお薦めできるうえ、腕に覚えのあるライダーにとっては、例えばウイリーやアクセルターン等の技の練習&披露にもってこいのバイクだったわけだ。


 セローと共通の250cc単気筒エンジンは歯切れの良い噴き上がりと低速での粘り強さを発揮。走る場所を選ばない柔軟な出力特性を誇るのが印象的。市街地をスイスイ駆け抜けるエクスプレスムーバーとしても、その扱いやすさはとにかく優秀だったのである。




 ……と、初代モデルの話を振り返ったが、そんなトリッカーが復活するというのだから嬉しい限りである。今回のモデルチェンジによって、あらたにキャニスターを装着等。排出ガスがクリーンなものとしたのである。エンジンはもちろん今回もセローと同じで空冷4ストロークSOHC2 バルブ。最高出力は20PSと突出した数値ではないが、軽量級のトリッカーならば、不足はないと思われる。ただスペック上からはは、ギヤ比の関係で常用速度域でのエンジンの回転数が高めと読み取れて、少し気になるところではあるが、元々スロットルレスポンスに優れ、頻繁なシフト操作を必要としないイージーな乗り味なので、もしかしたら気にするほどではないかもしれない。




 何より特筆すべきは、セローより約10万円も安い価格設定。税込み46万7640円は大きな魅力と感じた。

新型トリッカー ディテール解説

スポークホイールにはタンクカラーとコーディネイトされたアルミ製カラーリムがマッチされている。フロントブレーキは油圧シングルディスク。φ220mmのローターと異径2ピストンキャリパーのピンスライド式だ。

エンジンは基本的に全モデルと共通だが、キャニスター(黒い箱状の物)も新装備して平成28年排出ガス規制に対応。蒸発ガソリンを外気に漏らさない工夫と、O2フィードバック制御を加えた燃料噴射制御により排出ガスの浄化性能が高められた。

燃料タンク容量は若干縮小されて7ℓ。それでも初代の6ℓよりは余裕がある。フレームはセロー250と基本構造が同じ鋼管セミダブルクレードルタイプ。ダウンチューブはエンジン前方(ちょうどエキゾーストパイプ真上)から2本になるボルトオンタイプだ。

軽くアップしたワイドなバーハンドル。メーターはスピードメーターとパイロットランプのみのシンプルな造り。タンク前方にもパイロットランプがある。ステアリングは48度もの切れ角が確保されている。

ハンドル周辺のシンプルなデザインはかえって新鮮に見える。140㎞/hスケールのスピードメーターは指針式アナログ表示。トリップやオドメーターもドラムが回転するアナログ表示で懐かしさを覚える。

足つきチェック(ライダー身長170cm)

シート高は810mm。決して低い方ではないが、スリムにデザインされた車体のおかげで足つき性は良好。ご覧の通り両足をべったりついて膝にも軽く余裕がある。ちょうどすねの前方内側にステップエンドが触る感じだ。



主要諸元

認定型式/原動機打刻型式: 2BK-DG32J/G3J9E


全長×全幅×全高: 1,980mm×800mm×1,145mm


シート高: 810mm


軸間距離: 1,330mm


最低地上高: 280mm


車両重量: 127kg


燃料消費率*1: 


・国土交通省届出値 定地燃費値*2: 45.2km/L(60km/h) 2 名乗車時


・WMTC モード値(クラス)*3 : 38.7km/L(クラス 2 サブクラス 2-1)1名乗車時


原動機種類: 空冷・4 ストローク・SOHC・2 バルブ


気筒数配列: 単気筒


総排気量: 249cm³


内径×行程: 74.0mm×58.0mm


圧縮比: 9.7:1


最高出力: 14kW(20PS)/7,500r/min


最大トルク: 20N・m(2.1kgf・m)/6,000r/min


始動方式: セルフ式


潤滑方式: ウェットサンプ


エンジンオイル容量: 1.40L


燃料タンク容量: 7.0L (無鉛レギュラーガソリン指定)


燃料供給方式: フューエルインジェクション 点火方式 TCI(トランジスタ式)


バッテリー容量/型式: 12V, 6.0Ah(10HR)/YTZ7S


1次減速比/2次減速比: 3.083 (74/24)/3.000 (45/15)


クラッチ形式: 湿式, 多板


変速装置/変速方式 : 常時噛合式5 速/リターン式


変速比: 


 1速 2.846


 2速 1.812


 3速 1.318


 4速 1.035


 5速 0.821


フレーム形式: セミダブルクレードル


キャスター/トレール: 25°10′/92mm


タイヤサイズ(前/後): 80/100-19M/C 49P/120/90-16M/C 63P


(前後チューブタイプ)


制動装置形式(前/後): 油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ


懸架方式(前/後): テレスコピック/スイングアーム(リンク式)


ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ: ハロゲンバルブ/12V, 60/55W×1

*1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。


使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態 などの諸条件により異なります。


*2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。


*3:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。

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