
警察による速度取り締まりの全面的な見直しが始まり、ネズミ捕りに可搬式移動オービスの導入が決定されたのは数年前。当初はスウェーデンはセンシスガスト社製のレーダー式vs東京航空計器製のレーザー式のがっぷり四つの売り込み合戦が繰り広げられていたが、どうやら、レーダー式に対する数々のアドバンテージにより、レーザー式に軍配が上がりそうな雰囲気だ。それもそのはず、レーザー式オービスは、そうなるにふさわしい、恐るべき性能を備えていた!
前後左右全方位計測&撮影可能の、まさにモンスターオービスだ!
従来のレーダー式オービスやネズミ捕りで使用される定置式レーダー測定器は、対象車にレーダー波をあて、反射波との周波数の違いを利用して速度を測定していた。もちろん、1度に計測できるのは1台のみであり、シビアな照射角度の設定が必要な上に、街中に飛び交う電磁波も少なからず影響し、また、計測中に他のクルマなどの障害物が割り込んだりしても、測定精度を維持できないという欠点もあった。さらに、測定器を扱うには無線免許(「第二級陸上特殊無線技士」以上の資格)が必要と、けっこう、面倒くさい。
それに対してレーザー式は、3Dスキャンによって対象物を立体的に捕捉し、その捉えた立体の移動時間と距離によって速度を測定する。それも、1台のみならず、平行して走るクルマの速度も測定できる。実際にどう運用されているかはまだ明らかにされていないが、その気になれば複数台を1度に検挙することも可能なのだ。つまり、計測されているクルマを抜かしてしまった場合、同時に計測&撮影されてしまうこともあり得る、というわけだ。
もちろん、ナンバー別に速度が記録されるし、高性能カメラによって複数のドライバーの顔を撮らえられる=1枚の写真で2台の違反を特定することもできるはず。違反車のクルマを測定し、停止させてサイン会場に誘導していた従来のやり方を思えば、比較にならないくらい取り締まり効率がアップすることは間違いない。さらに、レーザーパトと同じく、対向車線を走るクルマだって取り締まり対象にできる。そして取り締まりに際して無線免許を必要としないというのも絶対の強みとなる。
以前、当サイトで「レーザー式オービスとはいっても従来の計測方式がレーザーに変っただけであり、レーダー探知機が使えないのはループコイル式や光電管式と同じ。だから世間で騒がれているほど脅威が増したわけではない」、と報告したが、その計測能力を知るにつれ、やはり従来のオービスとは怖さが格段に違うことを実感。謹んで訂正させていただきます。
そのすごさはよくわかったけど、肝心な測定精度が不明なのが心配!

現在、16都道府県に導入されている可搬式移動オービスのほとんどがレーザー式オービス(LSM-300)であり、さらに大阪府警は独自にレーザー式の固定オービスを導入している。今後の速度取り締まりの主役は、レーザー式で決まり、なのかもしれない。
ただ、レーザースキャンによる速度測定精度が、公に証明されていないと言う事実を、警察はどう考えているのだろうか。もちろん、速度オーバーは立派な違反であり事故を誘発するものである以上、最先端技術を用いた取り締まりにより抑制を図るというのは我々ドライバーも納得だが、誤測定によりあらぬ疑いをかけられたらたまったもんじゃない。ぜひ、我々が納得できるような説明を望みたいものだ。
