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2017年9月から新排ガス規制(ユーロ4同等)が適応されたことで、一度はメーカーのラインナップからも落ちてしまったセローだったが、新型に生まれ変わって8月31日から発売される。8月初旬にメディア向けに行われた撮影会で久しぶりに触れたセローはやっぱりというか、相変わらずというかセローらしさにあふれていて、筆者の頭の中には、30年以上前の初代モデルのデビュー当時の記憶が蘇った。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ヤマハ・セロー250……564,840円
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ヤマハはロングセラーモデルを輩出するブランドとしても良く知られている。60周年を迎えたホンダスーパーカブにこそ及ばないものの単気筒スポーツのSR400は1978年に、セロー225は1985年に登場。諸々の事情でラインナップからの一時的な消滅はあったが、いずれ劣らぬロングセラーモデルに違いは無い。
とかく熱しやすく覚めやすい日本市場で長期に渡って根強い支持を集めたのには、それなりの理由がある。今回はセロー250復活にちなんで、長寿モデルとして定評のあるセローについて考察してみたい。
初代はセロー225としてデビュー。各社のオフロードモデルがモトクロッサー並の高性能を求めて過激な進化を競い合っていた頃、トレッキングバイクという新しいカテゴリーを創出してデビュー。オフロードを2輪2足でトコトコ行く穏やかなツーリングバイクとしのキャラクターはとても新鮮だった。
それまでオフロード系モデルが主流としていた、どちらかと言うと戦闘的なスタイルとは異なる優しいデザインや空冷エンジンの搭載等は、過激なレーサーレプリカ全盛の中に投入されて大ヒットしたカワサキゼファーにも通じる、どこか「ホッ」とさせる雰囲気が漂っていた。
具体的には、スマートな車体で足つき性に優れ、軽量であった事。穏やかで扱いやすい出力特性のエンジン。ワイドなギアレシオ。そして何よりも決定的だったのは45度という大きく切れるステアリングにあった。
ザックリ言うとトライアル車とトレール車の中間的なポジショニングに新しい魅力が込められていたのだ。
1985年、当時の発表試乗会では浜北にあるヤマハのオフロードコースを起点にそのまま林道ツーリングへ出発。そこは文字通りの獣道を抜けるつづら折れのタイトターンが連続した。
トレール車では曲がり切れない所もセローは難なく進む。急斜面も具合よく路面をグリップしながらトコトコ登れてしまう。その優しく柔軟な乗り味に感激したのを今でもハッキリと覚えている。しかも絶妙な魅力を覚えたのは華麗なトライアルテクニックが求められるのではなく、無理せず足をついて進めば良いと言う、気分的に極めて“楽”な乗り味がとても嬉しかったのだ。
オフロードへ誘うビギナー向けにも断然お薦め。足つき性が良いから、小柄な女性ライダーも不安なく乗り始められ、そこにもセロー人気の要因のひとつがある。林道好きライダーにとっても、その多くはカッ飛び派ばかりではなく、大自然の美しい景色や空気を楽しみたい人は多い。そんな自然散策にもセローはまさにピタリとはまったのである。
1989年にはセルモーターが装備されて人気は益々確かなものに。当時スポーツニッポン新聞が主催するキングオブカーの二輪車部門賞にも輝いた。その後2005年にフルモデルチェンジされてセローは250に進化。現在は最新の排気ガス規制をクリアして復活した。33年もの間熟成を重ねた最新モデルはいかなる乗り味を発揮するのか、その試乗レポートは改めてお伝えする予定だ。