革新的なRR(リヤエンジン・リヤホイールドライブ)レイアウトの採用で、
広い室内、卓越した小回り性能、そして優れたトラクション性能を得たトゥインゴ。
だが厳密に言えばこのトゥインゴ、なんとスポーツカーの専売特許でもある
MR(ミッドシップ・リヤホイールドライブ)なのである!
ルノーもRRとアナウンスしているけれど
FF(フロントエンジン・フロントホイールドライブ)が当たり前のコンパクトカー・カテゴリーにおいて、革新的なRR(リヤエンジン・リヤホイールドライブ)を採用して注目を集めたルノー・トゥインゴ。
かつての二代目フィアット500(1957〜77年)を思い起こさせるRRのベーシックカーの登場は、多くの自動車好きに喝采をもって迎え入れられ、さらにはそれがもたらす広いスペースや小回り性能が一般ユーザーの心も掴み、一気にベストセラーの地位に登り詰めたのはみなさんも知るところだろう。
ところがである。トゥインゴを真横から見ると、ちょっとした疑問が湧くのである。「こんなに短いリヤオーバーハングにエンジンなんて載るのか?」と。
トゥインゴは正真正銘ミッドシップだった!
ようするに、リヤアクスルよりも前にエンジンがあればミッドシップ、後ろにあればRRということだ。何をもって前か後ろかを見分けるかは諸説あるだろうけれど、トゥインゴのように横置きエンジンであれば、クランク軸がリヤアクスル軸よりも前にあるか後ろにあるかで判断するということで異論はないだろう。
で、トゥインゴをリフトで持ち上げて下から覗いてみたのである。すると……
じゃじゃ〜ん! 完全にリヤアクスルよりもエンジンが前にあるじゃありませんか! もはやクランク軸もヘチマも関係なし。正真正銘のミッドシップである。
メーカー自身がRRとアナウンスしているものだから我々もなんの疑問も抱かず信じ切っていたが、トゥインゴは世にも稀な「ミッドシップのコンパクトベーシックカー」なのである。
では、なぜメーカー側はこれをミッドシップと言わず、控え目にRRと説明していたのか?
「いや、まぁ、これをミッドシップというのもおこがましいかと……」と恐縮気味にコメントしてくれたのはルノー・ジャポン広報担当氏。ミッドシップはミッドシップなのだから、もっと堂々と主張すればいいとも思うのだが、そうすると筆者のような単細胞クルマ馬鹿の面々が「サンク・ターボやクリオ(ルーテシア)V6の再来だぁ!」などと大騒ぎして収拾がつかなくなる可能性もあるわけで、そういう意味ではルノー様の判断は賢明かと思われる。
とはいえミッドシップであることは間違いないのだから、オーナー諸賢には胸を張って「ミッドシップに乗っている」と言い放っていただきたいものである。