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HUD搭載スマートヘルメットのコンセプト。ジャパンディスプレイが一般消費者向け商品の開発を発表


世界トップシェアを誇る車載用ヘッドアップディスプレイを応用し、走行中にさまざまな情報が視界に表示されるオートバイ用ヘルメットのコンセプトモデルを展示。

 スマートフォンやカーナビ、そしてさまざまな電気製品や医療/産業用機器に使われる中小型ディスプレイの開発・製造を行なうジャパンディスプレイ(JDI)が8月1日、今後の戦略を発表するイベント「JDI Future Trip」を開催した。ソニー、東芝、日立のディスプレイ部門が統合し生まれた同社は、スマートフォン向けの小型液晶では世界的にも高いシェアを誇っているが、価格競争の激しい分野であり、これまでのBtoB(企業→企業)に加えてB to C(企業→個人)商品の開発も行なっていくことをこのイベントで発表。いくつかのコンセプトモデルが展示された。

HUD搭載スマートヘルメットのコンセプトモデル。右目の前に透明なプレートが見える。

 二輪/四輪関連で注目される新市場への参入商品が、「スパルタ」というコンセプト名がつけられたヘッドアップディスプレイ搭載スマートヘルメットだ。同社の四輪車用ヘッドアップディスプレイユニットを小型化してヘルメット内部に搭載。オートバイで走行中の視界の中に、速度やGPS情報、メールや電話の着信を表示。走行時の視線を維持したまま情報が確認できるので、安全性の向上が期待できるということだ。

3D専用メガネなしで立体感のある動画を視聴可能な小型ディスプレイ。キャラクターが動く課金サービスを計画しているという。

 ジャパンディスプレイ常務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の伊藤嘉明氏は「これまでの“部品屋”という立場を超え、新しいアイディア、商品を生み出していきたい。そのために最終製品ビジネスに参入していくという決断を下した」と冒頭で発言。これまでのJDIでは決して開発の俎上に上がらなかった商品の検討がスタートし、今回のイベントは変わっていくJDIの現在の姿をアピールするため、現状のコンセプトモデルをお披露目する意味で開催したという。

ダンディライアンレーシングの村岡監督と、テストを行なった野尻智紀選手
テストで使用されたヘルメット。シールド部分に透過率80%の高透過・透明カラーディスプレイが備わる。


 オートバイやモータースポーツだけでなく、サバイバルゲームや建設現場、警備などに使われるヘルメットにもこの技術を応用することで、新たな楽しみ方や体験が創造できるとし、多方面への展開も計画。国内スーパーフォーミュラに参戦中のダンディライアン レーシングと共同で7月のテストにカラーディスプレイをシールドに装着したヘルメットを投入。同チームの野尻智紀選手がトップカテゴリーでの実走実験を行なっている。

現状はHUDユニットを帽体内に搭載している。

 今回展示されたヘルメットはあくまでもコンセプトモデルであり、表示ユニットのさらなる小型化や搭載位置の検討、何よりも重視される安全性の確認など超えるべきハードルもまだ多いが、数年内での市販化を目指し開発が進める計画だ。



 このイベントでは、従来のB to B関連商品も展示。急速に普及が進むインストゥルメントパネルの大型ディスプレイ化に呼応したコンセプトモデルが目を引いた。

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