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【モンキー125発売】ホンダ・モンキー 57年の歴史と、その人気の理由を振り返る


7月12日(木)にリリース開始となり、話題を呼んでいるモンキー125。50ccから125ccになって蘇ったモンキーの歴史は古く、1号機は半世紀以上前の1961年(昭和36年)10月に登場。モンキーのポイントは、時代に合わせてフォルムを変化させてきたところ。代表的なモデルを見ながら、57年の歴史を振り返ってみよう。


REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)

■発売目前の新型をたっぷり試乗! モンキー125で街に出た。■モンキー125と「ボアアップした旧型モンキー」を乗り比べ! 新型は約40万円でもお買い得?

1961年(昭和36年) Z100

モンキーの1号機

 1961年10月に東京・晴海で開催された自動車ショーで発表されたモンキーの第1号、Z100。受注生産方式により、ごく一部のルートのみに流通したZ100は、製造元のホンダにも詳しい資料が残っていないという非常に貴重なモデルだ。




 Z100は東京都日野市にあった遊園地「多摩テック(2009年閉園)」の遊戯車両としても採用(最高速度が15kmから20km/h程度に抑制されていた)。そのため、「モンキーが生まれた地は多摩テック」と言われることもある。




 Z100は1962年末頃より、ヨーロッパに向けて輸出を開始。Z100のホイールは前後8インチではなく5インチ仕様。前後リジッドサス、アップマフラー、三角形の樹脂タンク、工具なしで取り外しが可能な折り畳み式ハンドルなどを採用。また、エンジンは当時のスーパーカブと同じOHV49ccが搭載されていた。

■主要諸元


全長:−/全高:−/全幅−/乾燥重量:−/燃料タンク容量:−/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒49cc/最大出力:4.5ps/9500rpm/最大トルク:−/変速機:3速ロータリー/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後4.0-5

≪1961年(昭和36年)の出来事≫


・日活の人気映画スター、赤木圭一郎が日活撮影所内でゴーカートを運転中に事故死(享年21)。


・大阪環状線が全通。


・俳優・三船敏郎がヴェネツィア国際映画祭で最優秀男優賞受賞。




≪1961年(昭和36年)のヒット曲≫


石原裕次郎&牧村旬子/銀座の恋の物語


坂本九/上を向いて歩こう


植木等/スーダラ節

1963年(昭和38年) CZ100

6Lのメッキタンクを採用

 Z100と同じく、製造元であるホンダにも詳しい資料が残っていないという超お宝モデル。CZ100は多摩テックの遊戯用のほか、ヨーロッパに向けても輸出された。そのため、日本よりもヨーロッパのモンキーマニアの所有率が高いとも言われる。




 CZ100は1961年型のスポーツカブ、C111用の6Lタンクを流用してコストを抑制。Z100との違いはタンクのほか、フレーム形状、エンジン特性、キャブレター等々。

■主要諸元


全長:−/全高:−/全幅−/乾燥重量:−/燃料タンク容量:6L/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒49cc/最大出力:4.3ps/9500rpm/最大トルク:0.34kgm/8500rpm/変速機:3速ロータリー/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後4.0-5

≪1963年(昭和38年)の出来事≫


・ニセ札防止のため新千円札(伊藤博文の肖像)発行。


・アメリカのケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺される。


・力道山が刺され12月15日死去。




≪1963年(昭和38年)のヒット曲≫


舟木一夫/高校三年生


三波春夫/東京五輪音頭


梓みちよ/こんにちは赤ちゃん

1967年(昭和42年) Z50M

国内初の量産モデル

 多摩テックの遊技用として活躍していたモンキーは、大人たちからも人気を獲得。「国内でもぜひ市販を!」という声に応えるため、公道走行用であるZ50Mがリリースされた。




 Z50Mは国内で正式に発表・発売された公道走行用の第1号モデル。そのため、一般的にはこのZ50Mを「初代モンキー」とする場合が多い。ちなみにホンダでは「モンキー○周年記念モデル」は、Z50Mが誕生した1967年を起点にしている。




 可愛いチェック柄のシートなどに加え、車にも積み込みやすい折り畳み式ハンドルや前後5インチホイールを採用しているのも大きな特徴。発売当時のキャッチコピーは、「ピクニックの必需品」。レジャーバイクという新しいジャンルの先駆けとなった。




 フレームや足周りはZ100やCZ100と同じく、リジッド式と5インチホイールを採用。ただしエンジンはOHVから、当時の最新技術を盛り込んだスーパーカブC50系に採用のOHCに変更されている。

■主要諸元


全長:1150mm/全高:790mm/全幅:545mm/乾燥重量:47.5kg/燃料タンク容量:2.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.5ps/6000rpm/最大トルク:0.31kgm/5500rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後4.0-5/価格:6万3000円(当時) 


※67年銀行員初任給(大卒平均)2万8500円

≪1967年(昭和42年)の出来事≫


・マツダが世界初となる2ローターロータリーエンジン搭載のスポーツカー「コスモスポーツ」を発売。


・JCBが日本初の国際クレジットカード発行。


・ツイッギー来日。日本にミニスカートブーム到来。




≪1967年(昭和42年)のヒット曲≫


ザ・タイガース/僕のマリー


ジャッキー吉川とブルーコメッツ/ブルー・シャトー


ザ・フォーク・クルセダーズ/帰って来たヨッパライ

1974年(昭和49年) Z50J

8インチ採用、前後の足周りも充実

 1969年のモデルチェンジで、モンキーは前後5インチホイールから前後8インチホイールに大径化し、フロントフォークをテレスコピック型に変更。その後、50ccモデルは最終モデルまで同仕様を採用する。




 1974年のモデルチェンジでは、リジッド式からスイングアーム式のリヤショックに変更。公道での走行安定性が大幅にアップされた。またこのモデルより、50ccの最終モデルまで採用された8インチのブロックパターンタイヤを装備している。

■主要諸元


全長:1325mm/全幅:615mm/全高:855mm/乾燥重量:50kg/燃料タンク容量:4L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:7万9000円(J-1の発売当時)・9万9000円(J-Ⅱの発売当時)

≪1974年(昭和49年)の出来事≫


・ルバング島で旧日本兵の小野田寛郎元少尉を発見。


・TBS「8時だヨ!全員集合」で、ザ・ドリフターズのリーダー、いかりや長介が荒井注のドリフターズ脱退と志村けんのドリフターズ正式加入を発表。


・セブンイレブンが東京都江東区豊洲に第1号店を出店。




≪1974年(昭和49年)のヒット曲≫


西城秀樹/傷だらけのローラ


小坂明子/あなた


山口百恵/ひと夏の経験

1978年(昭和53年) Z50J-Z

2007年まで引き継がれたフォルム

 ティアドロップ型(涙型)の5Lタンクとサドル型シートを採用したモデル。モデルチェンジ当時の1978年はアメリカンバイクブーム真っ只中であり、モンキーにもアメリカンに多用されたティアドロップタンクが採用されたという経緯を持つ。モンキーとして最も息の長いこのタンクのデザインに、メーカー関係者も「まさか2007年まで続くとは……」と思ったとか。




 Z50M以来、採用されてきた遠心式クラッチ+3速ミッションに加え、マニュアル式クラッチ+4速ミッションもラインナップ。バッテリーなどの電装系は6Vを装備を装備しており、1992年までのモデルは、以降の電装系に12Vを採用したモデルと差別化するために「6V」と呼ばれる。

■主要諸元


全長:1340mm/全幅:600mm/全高:845mm/乾燥重量:58kg/燃料タンク容量:5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:3速リターン(4速リターン)/クラッチ形式:自動遠心式(マニュアル式)/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:10万円(発売当時)

≪1978年(昭和53年)の出来事≫


・キャンディーズが後楽園球場のコンサートで解散。


・東京都豊島区東池袋に60階建の超高層ビル「サンシャイン60」が開館。


・サザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でメジャーデビュー。




≪1974年(昭和49年)のヒット曲≫


ピンクレディー/UFO


世良公則&ツイスト/あんたのバラード


矢沢永吉/時間よ止まれ

1992年(平成4年) Z50J-N

CDI点火を採用した「12Vモンキー」

 電装系を当時の小排気量車の定番だった6Vから、安定した電力を供給する大容量の12Vに変更。また接点の清掃など、定期的にメンテナンスが必要な接点(ポイント)マグネット式点火から、点火特性に優れたメンテナンスフリーのCDIマグネット式点火に変更して各部の動作の安定と整備性の向上を大幅にアップさせた。




 エンジンチューニングという視点から解説すると、「6Vモンキーと12Vモンキーは、各部のエンジン用パーツが異なる」というのが重要なポイント。つまり、6V用にリリースされている社外製のエンジンパーツは12Vエンジンには使えない(その逆も)こともあるので注意が必要。

■主要諸元


全長:1340mm/全幅:600mm/全高:845mm/乾燥重量:58kg/燃料タンク容量:5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力: 3.1ps/7500rpm/最大トルク: 0.32kgm/6000rpm/変速機:4速リターン/クラッチ形式:マニュアル式/タイヤサイズ:前後3.50-8/発売価格(当時):16万9000円

≪1992年(平成4年)の出来事≫


・バルセロナオリンピック開幕。


・ビル・クリントンが米大統領選挙に当選。


・映画「氷の微笑」が大ヒット。




≪1992年(平成4年)のヒット曲≫


米米CLUB/君がいるだけで


浜田省吾/悲しみは雪のように


大事MANブラザーズバンド/それが大事

なぜモンキーのカスタムはメジャーになれた?

 モンキーのカスタムの始まりはエンジンから。新道路交通法が施行されて原付1種の法定速度が30km/h、原付2種の法定速度が40km/h、また原付1種の二人乗りが禁止になった1961年頃だと言われる。




 この道交法の変更に伴い、ホンダではボア径をφ40からφ42(ストロークは39mmのまま)に広げ、タンデムステップを追加した排気量54ccのC105とセル付のCD105がリリース。




 この頃から、49ccのC100に、C105用φ42シリンダーとφ42ピストンを使用して54ccにボアアップ。また、スポーツカブC115(54cc)用の高圧縮型φ42ハイコンプピストンを流用して圧縮比を上げるチューナーも存在したという。モンキーにはカブ系の横型エンジンが用いられているため、これらの手法はモンキーのチューニングメニューとしても活用できたわけである。




 その後、カブ系のエンジンは、ノーマルでも49cc、54cc、72cc、79cc、85ccなど様々な排気量が設定された。その結果、純正パーツを流用して排気量を上げるなど、チューニングしやすい土壌が昔から培われたわけだ。




 1980年代にはミニバイクレースブームが到来。社外パーツも充実し、排気量アップなどエンジン用チューニングパーツに加え、8インチから10インチへの外径アップ、アルミスイングアームへの変更、正立フロントフォーク化、ディスクブレーキ化など、足周りカスタムも充実。モンキーカスタムはますます過熱していった。

モンキーのエンジンはコンパクトなため、チューニングしやすいのがポイント。カブ、ダックス、シャリーなど他車との互換性もあり、パーツも豊富に揃っている。
モンキーに社外のアルミ製160mmロングスイングアームを装着。ホイールベースのロング化は走行安定性を高めるための定番メニューである。


2009年(平成21年) Z50J-9

キャブインジェクションに進化した「FIモンキー」

 厳しい排ガス規制をクリアするため、2009年にモンキーは燃料を供給する吸気系をキャブレターからフューエルインジェクション(FI)化し、マフラーには触媒を採用。またOHCエンジンは各所が大きく変更。足周りに大きな変更はないが、一部の外装パーツ及び、エンジン本体やエンジン周りが一新された。




 FIモンキーのエンジンは、外観・各部のパーツともにクラッチなど一部を除き、12Vのものとは異なるため、12V用のエンジンパーツの互換性は基本的にないものと考えて良い。

■主要諸元


全長:1365mm/全幅:600mm/全高:850mm/乾燥重量:68kg/燃料タンク容量:4.3L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力: 3.4ps/8500rpm/最大トルク: 0.35kgm/5000rpm/変速機:4速リターン/クラッチ形式:マニュアル式/タイヤサイズ:前後3.50-8/発売価格(当時):28万9800円

≪2009年(平成21年)の出来事≫


・日経平均株価の終値が7054円98銭に下落してバブル崩壊後の最安値を更新。


・鳩山由紀夫内閣が成立し、自民党から民主党に政権交代。


・トヨタ自動車がF1撤退を発表。




≪2009年(平成21年)のヒット曲≫


嵐/マイガール


東方神起/Stand by U


AKB48/RIVER

2018年(平成30年) モンキー125

50cc版とは全てが異なる新生モンキーが登場!

 グロムと同系統のパワフルな125ccエンジンを搭載した、50ccバージョンとはまったく別物のモンキー。前後12インチの大径ホイール、倒立型フロントフォーク、前後ディスクブレーキなど足周りも充実。マシンの詳細や試乗レポートは下記を要チェック!

■発売目前の新型をたっぷり試乗! モンキー125で街に出た。■モンキー125と「ボアアップした旧型モンキー」を乗り比べ! 新型は約40万円でもお買い得?
■主要諸元


全長:1710mm/全幅:755mm/全高:1030mm/乾燥重量:107kg(ABS装着車)/燃料タンク容量:5.6L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒124cc/最大出力: 9.4ps/7000rpm/最大トルク:1.1kgm/5250rpm/変速機:4速リターン/クラッチ形式:マニュアル式/タイヤサイズ:前120/80-12 後130/80-12/発売価格:39万9600円(ABS装着車は43万2000円)

≪2018年(平成30年)前半の出来事≫


・韓国の平昌(ピョンチャン)で冬季オリンピック開幕。


・韓国・北朝鮮の軍事境界線である板門店において、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が史上3回目の南北首脳会談を実施。


・2018 FIFAワールドカップロシア大会開幕。日本は決勝トーナメント1回戦でベルギーに3-2で惜敗。

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