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嗚呼、楽しきかな中古車ライフ 第7回:コイツは時代の20年先を行っていた!! EK10マーチスーパーターボ編(その2)


ハイパーレブ/ManiaxCars編集長のケン太郎す。


これまで『OPTION』や『R30&R31 Magazine』なんかでも書いてきたけど、


運転免許証を取得して30年弱、国産車を中心に、


中古車ひとすじ30ン台を乗り継いできた立場から、


その楽しさや思うことなんかをツラツラと書いていきたい。


今回は、結局4台買ったEK10マーチスーパーターボの2回目だ。

3速ATを5速MTに載せ換え、自らが練馬陸事に持ち込んでマル改車検を取得したEK10マーチスーパーターボ1号機。




取材のため、自走で向かった北九州のショップ『カッパツ』で、なんとチューニングが施されることになった。




吸排気系チューンに純正ECU書き替え、足回りにはリヤダンパーをコイルオーバー化したK11マーチ用改車高調が組まれ、ブレーキはRNN14パルサーGTI-R純正キャリパー&ローターで容量アップ…と、一気に3階級特進だ。




もともとレギュラーガソリン仕様だったMA09ERTだけど、ハイオクガソリンの使用を前提に燃調や点火時期をリセッティング。パワー&レスポンスが格段に向上して、「うおっ、速ぇぇぇ~」と思うくらいになった。MA09ERTはシングルカムのクセにやたらと回りたがるエンジンだったけど、中高回転域のパンチが倍増した。ちなみに、カッパツに設置されてたローラー式シャシダイでのパワーチェックでは144psをマーク。ぶっちゃけ、4A-Gのライトチューン仕様だったら加速勝負でラクショーでチギれるくらいの速さ…といえば、イメージしてもらえるだろうか。




車高調を組んだことでハンドリングもクイックかつ、よりダイレクトに。カタログ値770kgしかない超軽量なボディのおかげで、ノーマルでもコーナリングは軽快だったけど、曲がるのがさらに楽しくなったのだ。




その時、「いや~こんなに楽しいEK10マーチスーパーターボ、コイツは長く付き合えそうだ!」と思った。




それから10数年、いま車検が切れちゃってるけど、手放すつもりはまったくなく、金のメドさえつけばすぐにでも復活させたいくらいハマってるのだ。



1号機のボディが、もうもたない…

マル改車検を取って1年半、オドメーターが20万kmを超えたあたりからボディのユルさが気になるようになってきた。




というか、たぶんリヤゲートを開けたままバックしてどこかにブツけたんだろうと推測してたけど、1号機を買った時点で実はリヤゲートが閉まらず、ワッシャーでキャッチを5mmくらいカサ上げしてやっと閉まるようになったという状況だった。




まぁK10マーチは1970年代後半の設計だし、走行距離も伸びてるし、そこにカタログ値110ps、チューニングして140ps超のエンジンを載せて通勤に取材にと毎日乗り倒してたら、そりゃボディも音をあげるわな。




つうわけで、再びヤフオクを物色してみると…埼玉から同じボディ色ブラックメタリックで2オーナー走行7万5000km、5速MT、車検ナシってのが7万円で出てるじゃないの!




ハイ、乗り替え決定!




MSGアクティブゴッズ中村にお願いして、長く乗れるようにボディをしっかりつくってもらった上で、1号機で使ってたパーツを移植することにした。

車両を引き取って、そのままMSGアクティブに持ち込む

埼玉からMSGアクティブに直行した3号機。ボディ補強のため、バンパー、フェンダーやドアなどのパネル類が外された状態だ。「この写真、よく出てきたな」と我ながら感心した(笑)。

設計年次が古く、衝突安全なんてもんもほとんど考えられてなかった時代のクルマだけに、EK10はとにかくボディがユルかった。




当時、EK10で地方戦ラリーを戦っていたMSGアクティブゴッズ中村によると、「コーナリング中にボディが歪んで半ドア状態になり、そのたびルームランプが点いたり消えたりしてた」ってほど。同じような話は初代シティターボ&ターボⅡブルドックとか、センタピラーレスの初代プレーリーとかでも聞いたことがある。




もっとも、そのユルさと引き換えに、リッターカーながら今どきの軽自動車よりも軽い770kgという車重を実現してたんだから、文句を言うつもりはないし、なにより、いつの時代もクルマにとって軽さってのは大きな武器だと思う。




ボディ剛性に不満を感じるなら、そこに手を入れてやればいいだけの話。走りをシャキッとさせたいというだけでなく、日常域での快適性(乗り心地)を向上させ、EK10を長く楽しむためにも必須のメニューなのだ。




MSGアクティブにて具体的に施された作業は、左右ドア開口部とリヤゲート開口部周辺、フロントフェンダー内側へのスポット溶接増し打ちと、フロア周りへのワンオフボルトオン補強バー、『スーパーゴッズ棒シリーズ』の装着。




さらに、Aピラーとサイドシル、Bピラー上部のシートベルトアンカーとサイドシルをつなぐピラーバーや、モノコックの捻じれを効果的に抑える前後エンドバーも追加した。




これらボディ補強の効果は絶大で、ペナペナと頼りなかった1号機とは「これが同じEK10か!?」と思うほどに、直進&ブレーキング時の安定性もコーナリング性能も劇的に改善されることに。自分のクルマでボディ剛性の重要性を強く実感した瞬間だった。

ドア開口部周りに施されたスポット溶接増し打ち。ノーマルのスポット溶接箇所の間に、新たなスポット溶接を行なっていく。
足回りをよりスムーズにストロークさせることを目的としたMSGアクティブのボディ補強。青いスチール製のバーが『スーパーゴッズ棒シリーズ』だ。


ボディがしっかりすると、足回りにモノ足りなさが…

OPTION誌にて、別タンク式全長調整式車高調『碓氷SPLⅡ』を製作、装着した時の記事。今は亡きアンクル小山自らがテスト走行を行ない、セッティングを決めてくれた逸品だ。

1号機からのパーツ移植がおわり、車検も取得して通勤や取材のアシとして走り始めた3号機。




ボディがしっかりすると足回りに不満を感じるようになってきた。それまではカッパツのロワシート調整式K11用車高調改を使っていたんだけど、バネレートの低さもあってバンプタッチすることが多くなってきたのだ。つまり、ボディ剛性が向上してサスペンションがよりストロークするようになったということ。




そこでゴッズ中村に相談。世界で初めてストリート用車高調、『碓氷SPL』を開発、市販化したアンクル小山を紹介してもらい、EK10用全長調整式車高調をつくってもらうことになったのだ。




そのいきさつや商品のスペックなどは上の画像をドラッグ&コピーしてもらって読んでもらえればと思うけど、フロント13kg/mm、リヤ10kg/mmというハイレートながら、街乗りで跳ねたりすることなく快適性がしっかり確保されていることに正直おどろいた。




よくバネレートが高いほど乗り心地も悪くなる…と思われがちだけど、碓氷SPLⅡに乗って、そんなことはない!と実感。高バネレートでもしなやかにストロークすれば、街乗りでも不快な思いをしないで済むのだ。




思えば、ボディ剛性と足回りの深い関係性に興味を持つようになったのは、EK10でそれらの効果の大きさとバランスの重要性を身を持って知ったから。




パワーやトルクのように数値化することは難しいけど、手を加えた分、走りのフィーリングが大きく変わり、セッティングによって味付けも変更できるというところに面白さを感じたのだ。




というわけで、以下、次回につづく。



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