東京モーターショーで初披露され、この度ついに9月14日(金)に発売されることが公表されたホンダのパーソナルコミューター「スーパーカブ C125」。カブ本来が持つ、人々の生活に役立つ存在という基本骨格はそのままに、往年のC100のデザインと最新鋭のスペックを備え、新たなスーパーカブへと進化を遂げた。
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
ホンダ スーパーカブC125……399,600円
スーパーカブフリークも注目の「スーパーカブ C125」が、いよいよ9月14日(金)にリリースされる。「スーパーカブ C125」を徹底的に解剖し、掘り下げるためには、まずスーパーカブシリーズの歴史を語らなくてはいけないだろう。
スーパーカブってどんなバイク?
○軽快な車体取り回し性
「乗る人」「燃料タンク」「エンジン」などの重量物を車体中心付近に、ほぼ縦一列に集中配置したことによる高い運動性能
○安心の操縦性能
前後17インチタイヤにより得られる高い走破性
○優れた居住性
低重心エンジン+低床バックボーンフレームによる“ステップスルー”がもたらす、スカートをはいた女性でも乗れる容易な乗降性。また、下半身への風雨や泥はねからの影響を軽減する「レッグシールド」
○簡易な操作
勾配や積載量などの状況に応じてギヤ変速が任意に行え、かつ、クラッチ操作を不要としたミッション形式(自動遠心式クラッチシステム)を採用
○小型ながら高性能で信頼性が高く、優れた経済性と耐久性を備えた4ストロークエンジンの採用
スーパーカブとは、これらが無駄なく組み合わされることによって、「モーターサイクルの運動性能」と「スクーターのような扱いやすさ」の双方を、高次元でバランスさせたコミューターであること。このホンダ独創の車体パッケージングが、歴代のスーパーカブシリーズにはしっかりと引き継がれてきたわけだ。
スーパーカブシリーズの血統を引き継いだ、「スーパーカブ C125」の開発コンセプトとは?
現代の“豊かな生活”との調和 =Personal Commuter for Global “NICEST LIFE”
初代モデルのスーパーカブ C100以来、継承進化してきた基本性能の高さをベースに、現代の都市交通環境やライフスタイルとの調和を図った上質なパーソナルコミューターとしての姿を今一度見つめ直し、最新の技術手段による美しいフォルムと走りを目指した。
具体的には、自分らしいスタイルを大切にする、物選びに妥協しない本物指向の世界中のユーザーに向け、その豊かな現代生活の中で、改めてスーパーカブの持つ価値を体感してもらいたいという想いだ。
これらの実現のため、ホンダは各技術領域において、以下をテーマに取り組んだ。
・スタイリング …古びることのない「スーパーカブデザイン=普遍性」を所有する、という価値観の表現
・走り…運動性能と動力性能の両面から、快適性とゆとりのさらなる向上
・装備…ホンダ独創のコミューターに、より上質感を提供する最新装備
スーパーカブ C125の開発に際し、開発陣は「世界一でなければ日本一とは言えない」という気持ちで取り組んできたという。その結果としてスーパーカブ誕生60周年となる年に生まれたのが、スーパーカブ C125なのだ。
スーパーカブ C125のスタイリングはS字基調
創業者の思想を受けた初代モデル・スーパーカブ C100のデザイナー、木村讓三郎氏は「幅広いお客様が扱いやすいこと」を念頭に、デザイン方針を「普遍性」と定めた。これは現在のホンダのデザインポリシー、「機能を外観で表現する」が、すでに60年前から実践されていた事を示している。
スーパーカブ C125のデザインにあたってもこれを踏まえ、独創の車体パッケージングと最新技術を上質なコミューターとして調和させた、気品あるスタイリングを追求。
具体的には、女性でも乗り降りしやすいステップスルー空間からリヤタイヤのストローク軌跡に沿ったサイクルフェンダーで構成される、S字基調のシルエット。そのデザインは、「機能を外観で表現する」というデザインの基調そのものを端的に表わしている。
スーパーカブ C125のフロント周り
スーパーカブ C125のハンドル周り
フィニッシュとカラーリングにもこだわりあり!
ホンダではスーパーカブ C125を、エルゴノミクスなどに代表される「身体的な機能性」の観点のみならず、人に与える見た目の印象も「重要な機能」と位置づけ、各部の上質な造り込みを追求。「普遍性」を感じる部品には、機能、材料、製法、仕上げの調和を図ることが大切と考えて各部を成立させている。
カラーリングはスーパーカブの原点をモチーフとしているのがポイント。スーパーカブ C125では、歴史あるホンダのプロダクトであることを象徴するオールドタイプのウイングマークを採用。また、世界中のユーザーと「スーパーカブの物語」を共有したいという想いから、初代モデル・スーパーカブ C100を彷彿させる「パールニルタバブルー」を採用している。
スーパーカブ C125のフレーム
スーパーカブ C125では、運動性能と動力性能の両面から、走りのねらいを「快適性とゆとりのさらなる向上」に定めている。
フレームは多くのユーザーが馴染んでいる、スーパーカブならではの取り回し性の良さを確保するため、現行モデルのスーパーカブ110がベース。これにヘッドパイプ周りの構成部品や125ccエンジンに対応したエンジンハンガーにより、剛性をチューニング。125ccの動力性能とバランスさせたハンドリングなど、安心感のある車体挙動を実現した。
また、ハンドルマウント、シートマウント、ステップ踏面にはラバーを採用し、振動低減を図って快適性を向上。併せて、シートは前側を斜めにカットしたスリムな形状とすることで、足着き性を配慮。シートウレタンには高密度ウレタンを採用しながらクッション厚もスーパーカブ110よりも厚くとることで、乗り心地のさらなる向上を実現している。
キャストホイール&ディスクブレーキ採用の豪華な足周り
スーパーカブ110に対し、前後サスペンションストロークをフロントで10㎜、リヤで19㎜それぞれ長く取り、フロント100㎜、リヤ84㎜と最適化することで、より滑らかに路面ショックを吸収。さらなる快適性の向上が図られている。
また、125㏄の動力性能に対してより安心感のある制動力を持たせるため、フロントにはディスクブレーキを採用して制動力を大幅にアップ。
さらに、美しい切削加工仕上げの専用アルミキャストホイールを採用。また同ホイールの採用により、チューブレスタイヤを装着。スーパーカブならではの取り回し性の良さに加え、走行時の安心感と快適性を提供しているのがポイントだ。
スーパーカブ C125のエンジン
スーパーカブ C125のエンジンは、世界各地の市街地の交通環境に調和しながら、余裕のある走りを獲得するため、モンキー125と同系の空冷4スト単気筒125ccを採用。高級感のあるエンジン外観に変更しただけでなく、以下の変更を加えることで、静粛性向上を図ると同時に、シフト音やシフトショックの少ない、より質感の高いスムーズなシフトフィールを実現している。
●エンジンノイズ低減
・プライマリーギヤのヘリカルギヤ化
・より高精度のクランクジャーナルベアリング採用
●より質感の高いシフトフィール
・シフトフィール向上のためシフトドラムベアリング採用
・シフト音低減のためシフトアームラバー採用
・シフトショック低減のためクラッチダンパーラバー素材の最適化
以上の運動性能と動力性能を備えることで、スーパーカブ C125の走りは、密度の高い都市部の混合交通の中であっても、心の余裕と安心感につつまれた、快適な走りを提供している。
イマドキを意識したLED灯火類
便利で画期的なスマートキーシステムを装備
■主要諸元■
通称名 スーパーカブ C125
車名・型式 ホンダ・2BJ-JA48
全長×全幅×全高(mm) 1,915×720×1,000
軸距(mm) 1,245
最低地上高(mm) 125
シート高(mm) 780
車両重量(kg) 110
乗車定員(人) 2
最小回転半径(m) 2.0
エンジン型式・種類 JA48E・空冷 4ストローク OHC 単気筒
総排気量(cm3) 124
内径×行程(mm) 52.4×57.9
圧縮比 9.3
最高出力(kW[PS]/rpm) 7.1[9.7]/7,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 10[1.0]/5,000
燃料消費率(km/ℓ)
国土交通省届出値
定地燃費値(km/h)69.0(60)<2名乗車時>
WMTCモード値(クラス)※3 66.1(クラス1)<1名乗車時>
燃料供給装置形式 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(ℓ) 3.7
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式4段リターン
変速比 1速 2.500/2速 1.550/3速 1.150/4速 0.923
減速比(1次/2次) 3.363/2.571
キャスター角(度)/トレール量(mm) 26°30´/71
タイヤ 前 70/90-17M/C 38P 後 80/90-17M/C 44P
ブレーキ形式 前 油圧式ディスク 後 機械式リーディング・トレーリング
懸架方式 前 テレスコピック式 後 スイングアーム式
フレーム形式 バックボーン
価格 399,600円