島津製作所は、自動車ヘッドアップディスプレイ(HUD)用ミラーの量産に最適な高速スパッタリング装置「UHSP-OP2060」を6月20日に発売する。
近年の自動車には、フロントガラス周辺に走行情報などを表示するHUDの導入が進んでおり、樹脂成形品にアルミニウム膜などをコーティングしたHUDミラーが光学系に組み込まれている。このミラーは、投影する情報の増加にともなって大型化が進むとともに、耐久性や信頼性が要求される。また、量産コスト面での課題から、汎用性に優れたポリカーボネート(PC)樹脂の利用が期待されている。
島津製作所は、樹脂成形品に真空下で高速に成膜できる高速スパッタリング装置をHUDミラー量産装置として最適化した新型機「UHSP-OP2060」を開発した。従来はセットできなかった400mm×180mmの大型ミラーに対応可能とし、200mm×80mmクラスのミラーでは当社従来機比2倍のスループットを実現する。さらに、成膜前に独自開発の下処理を加えることで樹脂基材とアルミニウム膜の密着性が飛躍的に向上し、PC樹脂基材では従来合格が難しいとされてきた環境試験をクリア可能にした。汎用性の高いPC樹脂を利用することで、HUD量産コストの削減が期待できる。
名称:高速スパッタリング装置「UHSP-OP2060」
価格:8,000万円(税別)
【新製品の特長】
1. 大型ワークに対応
今後大型化が進むHUDミラーに合わせた設計により、400mm×180mmの樹脂成形品に対応。
2. 優れたスループットを実現
成膜エリアの拡大により、これまで一般的とされていた200mm×80mmの樹脂成形品に対して、スループットが同社従来機の2倍に。
3. PC樹脂への高い密着性
独自の下処理技術により、PC樹脂にも高い密着性を実現。PC樹脂を基材とするミラーでは従来合格が困難とされた恒温恒湿試験(温度85℃・湿度85%・1,000時間以上)をクリアしている。汎用性に優れるPC樹脂を基材に用いることで、HUD量産時の材料コスト削減が期待できる。
今後、HUDの普及にともなって見込まれるミラーの需要増加に対し、同社は本装置と樹脂成形機を連動させたインラインシステムの開発を進めていく。