最近、なにかと話題の「あおり運転」。「あおり運転」という行為は今までにもなかったわけじゃないが、たぶん、世の中がギスギスしてきた昨今、度を越した悪質な「あおり」が増えてきたというのが真相だろう。警察も、ついにその取り締まりに本腰を入れ、なんと、免許停止処分者続出だというから半端じゃない。一体、なんの違反が適用されているのか、真相解明といこう!
悪意はなくても危ない奴と思われたらやばい!
現在、警察が「あおり運転」に適用している主な違反は、次の3つ。
1. 車間距離不保持
違反点数:2点
反則金:6,000円
2. 進路変更禁止違反
違反点数:1点
反則金:6,000円
3. 急ブレーキ禁止違反
違反点数:2点
反則金:7,000円
ん? 例えば、全部の違反を適用されても合計点数は5点であり、累積のある場合を除けば免停になりようがない。第一、違反が重複した場合は一番、点数が高い違反のみの点数が累積されることになっているからなおさらなのだ。
じゃ、なぜ、免停になっちゃうんだろう。
それは、悪質なケースで危険運転致死傷罪(62点)が適用された場合(この場合は免許取り消しだが)や、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」危険性帯有者(道路交通法第103条8号)とみなされた場合に、違反点数は関係なく、一発免許停止になるということだ。さらに、最悪、暴行罪が適用されることもあるそうだが、そうなると、点数がどーのこーの言ってる場合じゃない。いずれにしても、例え悪意はなくても、今やもっともやり玉にあげられやすい違反であることを、改めて認識しておいたほうがいいだろう。もはや単なる反則行為では済まされないことになるかもしれないからだ。
ただ、確かに、車間を極端に詰めたり、横に並んで幅寄せしたり、前に出て急ブレーキをかけたり(言語道断)という、過度の「あおり運転」は危険極まりなく、暴力行為とみなされても仕方がないが、従来、例えば高速道路の追い越し車線をのんびり走っているクルマに対してパッシングを浴びせたり、後方視界の悪いトラックに右ウインカーを点滅させて自分のクルマの存在を知らしめたりというのは、マナーを守らないドライバーに警鐘を鳴らすという意味で、ドライバー同士の暗黙の了解事項であったというのも事実。すべてを「あおり運転」にひとくくりしてやみくもに取り締まるとなると、「いいがかり」さえも通用する事態に陥る可能性もないわけじゃない
大事なのは取り締まり強化ではなく、相手への思いやりを持ち、マナーを守った運転を、ドライバーひとりひとりが心がけることではないだろうか?