ドイツの大手自動車用部品メーカー・ZFは、5月23日から25日までパシフィコ横浜（神奈川県横浜市）で開催された「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」（主催：自動車技術会）に出展。電動化・自動車対応に向けた製品を数多く出品する中、ひときわ異彩を放ち注目を集めていたのが、「アドバンスド・センター・エアバッグ」だ。
同社内で「ファーサイド・エアバッグ」と呼ばれているこのシステムは、側面衝突時における頭部の横揺れと、乗員のボディ内側＝ドアパネルの反対側の傷害を軽減するもの。2020年よりユーロNCAPで試験項目として追加される予定のため、開発が進められているという。
主にセンターコンソールへの衝突を防ぐのを目的としているが、エアバッグ展開時を模した実物を見ると、ユニットは背もたれのシートフレームに取り付けられており、衝突するとエアバッグは火薬によって上方へ向かって展開し、脇腹から頭部までを保護するものとなっている。
現実的にはセンターコンソールへの衝突よりも、横揺れによる首の傷害を和らげつつ、隣に乗る同乗者への頭突きを回避し、致命傷となりやすい頭部への傷害を防ぐのに役立ちそうだ。
ZFではこのほか、アメリカで2019年モデルから適用される斜行移動台車（OMDB）衝突試験に対応するため、頭頂部や側頭部の傷害を軽減するルーフライナーエアバッグなどの開発も進めている。2020年以降に発売されるクルマで衝突事故を起こすと、ドライバーは全身をエアバッグで覆われるようになるのかもしれない。
