トルクミックスによるハイブリッドシステムが現在のHEVの主流だが、動力付加型という手段も現れ始めた。ヴァレオがその方式の2種の提案を打ち出している。
冒頭の写真は「高出力電動ドライブシステム」。ヴァレオとシーメンスのジョイントベンチャーによる電動パワートレインで、ヴァレオはインバータとモータを担当。70〜300kWのモータを原動力として想定していて、写真に示すタイプは300kW。バッテリ電圧は400/800Vのいずれかを搭載する。
ユニット内に収まるトランスミッションは他社と共同で開発したもので、減速のみの1速構造。300kWもの大出力だけに段数は不要と判断した。300kWともなると勢い、内燃機関とのトルクミックスは考えておらず、本製品のみをパワートレインとして車両に積むだけのワンパッケージとして企画されている。インバータとモータは水冷式とした。
すでにプロジェクトとしては進行中で、2019年の終盤に量産が始まる予定。「プレミアムなEV用」と担当者はおっしゃっていた。
いっぽうのこちらは48Vシステムを用いる後軸用のパワートレインユニット「eRAD」。先に紹介したものと同じく、モータとインバータと減速機をワンパッケージとしている。マイルドハイブリッドとして使用できるとともに、小型モビリティやコミュータならEV用パワートレインとして用いることも可能だ。
48VシステムとしてはP4のタイプにあたる。ヴァレオは48VのシステムとしてP0タイプのiBSGをすでに持っていて、これはいわゆるオルタネータの変わりにベルト式のスタータ/ジェネレータを置く構成だ(12VのiStARSシステムをベースとしている)。iBSGとセットで用いることで48Vシステムを構成、燃費率の向上を図る。
右側に写るのはDC-DCコンバータ。48Vを降圧して12V系の電装やバッテリに充電する役割を果たす。