スペインの自動車用金属部品メーカー・ゲスタンプが5月23日から25日までパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催中の「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」(主催:自動車技術会)に出展。そのメインを飾ったのはホットプレス鋼板、それも部分的に強度を下げた「ソフトゾーン・テクノロジー」だった。
ゲスタンプは鋼材を約900℃まで加熱したのち金型内で急速冷却することによって複雑な形状と1500MPa級以上の高い強度を両立するホットプレス鋼板を主力商品としており、近年は欧州車のみならず新型ホンダ・シビックやCR-Vなど国産車にも採用され始めている。今回出品された自動車用骨格の多くは、この両車のものだった。
中でもリヤサイドメンバーは、レーザーや金型内のヒーターによって部分的に冷却を抑えることで、後端の一部の張力を580~980MPa級に下げた「ソフトゾーン・テクノロジー」を用いたものとなっている。
この技術を用いるメリットは、従来は強度ごとに別々になっていた部品を一体成形することによる部品点数削減=コスト削減と軽量化、そして変形しやすい部位を意図的に設けることにある。衝突時により設計意図通りに骨格が潰れるよう、変形のしかたをコントロールすることで、入力の伝わり方を安定させることができるというわけだ。
このほか、「今後発売されるドイツ車のAピラー」が参考出品されていたが、こちらはセルフピアシングリベット(SPR)での異種材接合を可能にするため、その位置をSPRが貫通できる980MPa級まで張力を下げていた。「ソフトゾーン・テクノロジー」には、他にも様々な活用方法がありそうだ。