接着剤・洗剤グローバル大手であるドイツ・ヘンケル社の日本法人、ヘンケルジャパンは5月16日、ハイブリッド構造用接着剤「ロックタイトHY」シリーズの新バージョン「4070」を6月に発売することを発表。その詳細説明と実演を横浜・アジアパシフィック技術センター(神奈川県横浜市)で行うとともに、その研究施設を公開した。
ヘンケルジャパンでは2017年7月より、瞬間接着剤と構造用接着剤の長所を兼ね備えた2液型の構造用接着剤を「ハイブリッド構造用接着剤」として販売開始。メンテナンス・補修向けで手混ぜタイプの「4060」、製造ライン向けで低臭・無溶剤・高耐久の「4080」とバランス型の「4090」をラインナップしていた。
今回追加された「ロックタイトHY4070」は、硬化時間が極めて短く接着後の強度の立ち上がりも早い、補修・メンテナンス用途を主眼としつつ製造ライン用途にも対応する、2液型構造用接着剤。
主剤と硬化剤がコンパクトな注射器型のパッケージに同封されており、別売の「ミックスノズル」を先端に、プランジャーを後端に装着し押し込むと、自動的に主剤と硬化剤が撹拌されたうえでゲル状の接着剤が押し出される。
そのため線・面での接着のみならず点付けでも使用でき、しかも鋼板やアルミニウムはもちろん、プラスチックやゴムにも幅広く使用可能で、異なる素材の接着にも対応する。
研究施設での実演では、「ロックタイトHY4070」で接着した軟鋼とABS樹脂、ゴムを人の手ではがす実験が行われたが、軟鋼こそやっとの思いではがれたものの、ABS樹脂とゴムでは接着面がはがれることなく、そのすぐ側で材料破壊が起きてちぎれてしまった。
さらに、研究施設内のせん断強度測定機器を用い、従来品の「E-05CL」と「ロックタイトHY4070」、それぞれで接着し1時間が経過した軟鋼の試験片でせん断強度を測定。前者は1400ニュートン前後ではがれたのに対し、後者は1万ニュートンを大きく上回る力にも耐え、その接着強度の立ち上がりが極めて早いことを示していた。
会場にはそのほか、パイプが折れたラジエーターや、ヒビが入ったウィンドウウォッシャータンクを「ロックタイトHY4070」で補修した実物を展示。同社説明員によれば、「HY4070は耐熱・耐水・耐衝撃・耐薬品性能がいずれも高く、熱可塑性樹脂を用いたエンジンルーム内にある補機類の補修に適している」とのこと。
なお、構造用接着剤を新車製造時に使用した部位のボディ修理については「そちらはテロソンブランドから専用のものを発売しており、新型ホンダN-BOXのボディ修理書には対応品の一つとして記載されている」という。