エンスージアストにとって夢のイベントとして知られる”グッドウッド”にて、マクラーレンの最新アルティメットシリーズ「セナ」がデモンストレーション・ランを行った。あいにくの天候でも、その速さは異次元だったという。
TEXT&PHOTO◎藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
2017年12月に発表され、先日のジュネーブ・モーターショーでサーキット専用車のGTRとともにアンヴェールされた“アルティメット・シリーズ”の第2弾「マクラーレン・セナ」が、3月17〜18日にイギリス・グッドウッド・サーキットで行われたヒストリックカーイベント“グッドウッド76thメンバーズ・ミーティングに姿を現し、デモンストレーション・ランを初披露した。
持ち込まれたのは、サイドに“VP731-P15 PROTOTYPE VEHICLE”というマーキングが施された全身真っ黒な個体で、これまで何度か外誌などでテスト風景がスクープされているプロトタイプだと思われる。
残念ながら週末を通じて季節外れの雪に見舞われ全開走行が行われなかったこともあり、目玉のひとつである前後ウイングのDRSモードが作動する光景や、最高出力800psを謳う4リッターV8ツインターボの咆哮を聞くことは叶わなかった。しかしながら、そのような状況でも秘めたるポテンシャルの一端が伺えたのがコーナーでの動きだ。
セナのデモランが行われた時間は、所々シャーベット状になった非常に滑りやすいコースコンディションだったが、同じ走行枠で走行していたP1や720Sと比べてもコーナリングスピードは高く安定しており、追走していた570Sスパイダーをあっという間に引き離してしまうほどだった。
そんなマクラーレン・セナについて、創始者ブルース・マクラーレンの愛娘で、マクラーレンのアンバサダーを務めるアマンダ・マクラーレンは、こう話す。
「セナの定価は75万ポンドですが、オーダーされた方の多くがMSOによる25万ポンドのオプションを希望されるので、定価でデリバリーされる個体はほとんどありません。またセナはすべてハンドメイドで製造されますが、マクラーレンでは工場を拡張し、2交代制でのフル生産体制を整えています。あと工場では、我々マクラーレン・ファミリーの地元であるニュージーランドからきたインターンシップの学生達も手伝ってくれているのですよ!」
生産型のデリバリーが始まるまでには、もう少しの辛抱が必要となるが、マクラーレン・セナがプレミアム・スーパーカーリーグに新風を巻き起こすのは、どうやら間違いなさそうである。