日産自動車は「セレナe-POWER」を2月28日に発表、3月1日より全国一斉に発売する。セレナはファミリー層にターゲットを絞った人気のミニバンで、e-POWERという魅力的な電動パワートレインを得たことで、さらに商品力が増した。果たして、セレナe-POWERの実力は?
注目はパワートレインの強化&最適化、新機能の追加
e-POWERといえば、2016年にノートに初搭載して大ヒットとなったパワートレインで、エンジンで発電して電気モーターで走るシリーズハイブリッドである。例えばマンション住まいで駐車場に充電設備が設置できないようなケースでも、低燃費でEVと同等のトルクフルな走行が楽しめるのが大きな魅力だ。
Sモードの「S」はSPORTSではなく「SMART」を意味する
同乗者にも優しい乗り心地を実現した専用チューニング
最初に尋ねたのが、試乗時に感じたSモードやECOモードのスイッチをシフトレバーに移設することについて。
江上氏「ノーマルモードよりも、SモードやECOモードに固定して乗ってほしいと考えていますので、運転中に解除したりする必要はないと考えています。その理由としては、ノーマルモードはブレーキを踏まないと減速しないので、エネルギーを回収することなく捨てることになります。つまり、燃費で損をしてしまううので、走りやすさもあるSモードやECOモードで乗って頂きたいと考えています」
次に、マナーモード時の制御、つまりマナーモードであってもエンジンが始動する点について聞いた。
江上氏「マナーモードであっても、フルにアクセルを踏み込むとエンジンがかかります。これは、バッテリーとエンジンの両方から電流が流れるためで、逆に言えば、フル加速するときは両方から電気を流す必要があるのです。通常モードでは、バッテリー残量がいっぱいある状態であれば、アクセル開度が80%までエンジンがかかりませんが、残量が少ないときにはアクセル開度40%でエンジンが始動します。しかし、マナーモードのときには、いずれの状態でもアクセル開度が80%までエンジンがかかりませんが、アクセルを踏み込むとエンジンがかかるわけです。これは、車速によっても変化する制御になっています」
最後に、今回の試乗では体感できなかった、1名乗車と7名乗車で乗り味はどう変化するかを尋ねた。
江上氏「モーターのトルクを調整して、クルマの重量増に対応しています。回生の力が強くなりますが、同じような減速をするので、基本的な走りは変わりません。また、例えば上り坂と下り坂でも“減速度”を目標値にして制御していますので、ドライバーがひとりでも7人乗車であっても、いつでも同じ感覚で運転することができます」
【結論】 扱いやすさではノートe-POWERを越えた
セレナe-POWERには、進化した「踏み間違い衝突防止アシスト」が搭載された。ソナーに加えてカメラで検知することで、離れた位置のクルマや歩行者に対応し速度も25km/hまでOKだ。従来仕様はソナーだけで約10km/h以下という極低速の近距離のクルマや壁のみだったので、かなり大きな進化である。高速道路の同一車線自動運転技術「プロパイロット」も搭載し、家族の安心・安全にも寄与するミニバンに仕上がっている。