ベスパ伝統のスチールモノコックボディに、278.3 ccのピアジオクォーサーエンジンを搭載。国産車と比べて格段に軽い160kgという車重は、市街地走行で有利なのはもちろん、ハイスピードでの巡航もそつなくこなせる実力を備える。(REPORT:近田 茂/PHOTO:山田俊輔)
Vespa GTS Super 300 Quasar
698,000円
ピアジオグループが展開するイタリアのベスパ。その中で最もスポーティな存在として君臨するのがこのGTS スーパー300 である。先日鮮やかなグリーンの150 ccモデルについて試乗レポートを報告済みだが、こちらはその兄貴分というわけ。つまり、よりアクグレッシブな存在としての個性を主張できる1 台なのである。
細かい事を言わなければ、スタイルも大きさも同じ、エンジンの排気量だけが異なると思っても良いだろう。より新しいのはi-get エンジン搭載の150 の方。GTS スーパー300 は従来からあるQuasarエンジンの制御系に新デバイス(ASR トラクションコントロールシステム)が取り付けられているのが特徴。ちなみにスタート&ストップ(アイドルストップ)機能は搭載されておらず、150のみの装備となる。
ジェラシーイエローをまとった試乗車は、クロームのリヤラックと、小さめなフライスクリーンが装備されていたが、これらはオプション装備。なので、外観デザインは150 と全く共通といえる。150 ではスペランツァグリーンの鮮やかな色合いが魅力的だったが、今回のGTS スーパー300のボディカラーはジェラシーイエロー。クリアで艶を出さず、あえて細かな凹凸感を残した艶消し処理で、国産車ではあまり見かけない色ではあるが、さすがイタリア人のセンス。不思議と都会の街並みにも馴染んでしまう。ちなみにカラーバリエーションは例のスペランツァグリーンとモンテホワイト、チタングレー(受注生産)の4タイプだ。
基本的なデザインは150 と共通と書いたが、細かい点まで着目すると異なる部分はいくつもある。その一つがマフラーである。それぞれの排気量に合わせた専用の内部構造となっているのはもちろんだが、クロームのヒートガードデザインも違うので、一目で区別はできる。
また車格感はほぼ一緒だが、触れた瞬間に気づくのはGTS スーパー300 の方が重い取り回しであるということ。150 は軽量化も徹底された新設計エンジンを搭載しているが、300 はそれとは別物でエンジンそのものが重いのである。燃料タンク容量も7Lの150 に対して300 は8.5Lと大きく、乾燥車重は160kg と20kg増。……と聞くと重くてマイナスな印象にとられがちだが、じつは20kg増程度で抑えているのがすごいところ。国産250ccクラス(いずれも装備重量)の相場が180kg〜210kgであることからも別格の軽さに仕上げられている。この軽量ボディこそがGTS スーパー300の専売特許と言えるのだ。
【SPECIFICATIONS】
●ENGINE
エンジン Quasar 4ストローク水冷単気筒 SOHC 4バルブ
総排気量 278cc
最高出力 21HP(15.6kW)/7,750rpm
最大トルク 13.5Nm/6,750rpm 【22Nm/5,000rpm】
燃料供給方式 電子制御式燃料噴射システム
冷却方式 水冷
トランスミッション 自動無段階変速(CVT)
●CHASSIS
サスペンション(前) 片持ちリンクアーム油圧式サスペンション
サスペンション(後) プリロードアジャスタブル デュアルアクション ツインショックアブソーバー
ブレーキシステム 2チャンネル ABS
ブレーキ(前) 油圧式 220mm ディスクブレーキ
ブレーキ(後) 油圧式 220mm ディスクブレーキ
タイヤ(前) 120/70-12"
タイヤ(後) 130/70-12"
●DIMENSIONS
全長 / 全幅 / 全高 1,950mm /755mm/ 1,190mm
ホイールベース 1,375mm
シート高 790mm
燃料タンク容量 8.5(±0.5)L
車両重量 160kg