スズキが昨秋デビューさせた、グローバルでは3代目、日本国内では4代目となる新型「スイフトスポーツ」。その6速MT車と6速AT車、両方とも都内から箱根のワインディングまで往復して感じられたのは、おおよそホットハッチらしからぬ、ロングツーリング性能の高さだった。
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さらに、低・中負荷域にウェイストゲートバルブを閉め、タービン回転数を高く保つノーマルクローズ制御を用いることで、アクセル全閉から全開での過給応答性を2000rpm時で0.17秒短縮。サブマフラーを先代のシングルからデュアルに変更するなどの構造・容量変更により、排気音量がエンジン回転数に対してリニアに立ち上がるよう改良されている。
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そして、もう一つの大きなポイントは、骨格のつながりをスムーズにすることで軽量高剛性化を図る新プラットフォーム「ハーテクト」の採用だ。ボディは標準車と同様に、980MPa級のものを重量比17%、先代の3倍におよぶ割合で採用するなど超高張力鋼板を多用しつつ、内外装やパワートレイン、シャシーに至るまで徹底的に重量を削減することで、先代スイフトスポーツに対し70kg軽量化。車重を6速MT車で970kg、6速AT車で990kgにまで落としている。
最初に試乗したのは、従来の7速MTモード付きCVTに代えて設定された6速AT車。よりダイレクトな加速感・変速感が味わえるよう、エスクード1.4ターボ用に対し最終減速比が3.502から3.683に下げられ、トルクコンバーターの特性も変更されたという、そのモデルに触れてまず感じたのは、やはり軽さだった。
ドアを開閉し、シートポジションを合わせ、エンジンを始動し、ミラーを調整、シフトレバーをDレンジに入れる。それら一連の操作が全て、わずかな力で行うことができる。しかも、そこに安っぽさは決してなく、適度な節度感が味わえるのだから、これは女性のドライバー(や同乗者)にとっても好ましい操作感といえるだろう。
そしてたどり着いた、箱根のワインディング。初めはAT任せのまま、やや速めのペースで走らせてみると、坂道走行の制御ロジックが組み込まれているらしく、減速時は積極的にシフトダウンし、逆に加速時やアクセルオフ時はむやみにシフトアップを行わない。そのためアクセルオフ時には適切なエンジンブレーキ、アクセルペダルを踏み込めば即座に溢れんばかりのトルクを得ることができる。軽くジョギングする程度の気持ちでワインディングを流したいという時は、ATモードを維持した方が、むしろ速く楽に走れるだろう。
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路面の凹凸に対しても、大きな凹みに対してこそやや強めのショックを室内にもたらすものの、それ以外はいたってオンザレール。サスペンションが極めてしなやかに凹凸をいなし、車体の姿勢をフラットに保ってくれる。フロントセミバケットシートの高いサイドサポート性も相まって、車体のみならず乗員も姿勢と視線の変化が少ないため、速く安心して走れるだけではなく、快適で疲れにくいというのも大きな美点だ。
その走り味は、ほぼ同じパワートレインを持ち、走りにおいては無類の完成度を誇るエスクード1.4ターボに酷似しており、しかも車重が230~250kg軽く(ただしエスクードは4WD、スイフトスポーツはFF)、ボディサイズは全てにおいて一回り小さいのだから、速くないわけがない。楽しくないわけがない。「乗らなきゃわからないのかよ、そんなことまで」と言われそうだが、実際に乗ってみたら、期待以上の速さと楽しさだったのだから、ただただ驚かされるばかりだった。
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だが、その持てるポテンシャルを全て使い切って走りたいとなると、物足りない部分が見えてくる。メーター上は6250rpm以上がレッドゾーンとなっているが、ATモード、パドルシフトを駆使したMTモードを問わず、実際には5800rpm付近で自動的にシフトアップする。これは後日試乗した6速MT車でも、5800rpm付近でレブリミッターが働いてしまっていたため、状況はさほど変わらないというのが、また大きな問題だ。
コントロール性の面ではもちろん、特に4000rpm超でターボエンジンとは思えないほどの快音を奏でるこのK14Cを堪能し尽くせないという意味でも、この自動シフトアップ制御と低いレッドゾーンは疎ましく思えてしまう。
新型スイフトスポーツは、従来からの美点であるワインディングでの軽快な走りも大幅に進化している。だが、最も楽しく快適に走れる場面は、高速道路を主体としたロングツーリングである。6速MT車の方が若干ワインディング向きではあるものの、ロングツーリングの方がより適しているのは6速MT車も6速AT車も変わらない。
Specifications
スズキ・スイフトスポーツ セーフティパッケージ・全方位モニター用カメラパッケージ装着車(6速MT車/6速AT車)
全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm ホイールベース:2450mm 車両重量:970kg/990kg エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ターボ 排気量:1371cc ボア×ストローク:73.0×81.9mm 圧縮比:9.9 最高出力:103kW(140ps)/5500rpm 最大トルク:230Nm(23.4kgm)/2500-3500rpm JC08モード燃費:16.4km/L/16.2km/L 車両価格:1,980,720円/2,050,920円