コンチネンタルとNVIDIAは16日、NVIDIA DRIVEプラットフォームをベースとした人工知能(AI)自動運転車両システムの開発で提携することを発表した。自動運転レベル3で2021年の導入を目指している。
このパートナーシップにより、自動運転レベル2の機能から、ハンドルやペダルのない完全自動運転レベル5までに対応するAIコンピューターシステムの生産を実現する。
各社のエンジニアリングチームが協力し、自動運転に向けたソリューションの開発を共同で進める。そのソリューションは、世界で最もパワフルなSoC(System on a Chip)であるNVIDIA DRIVE Xavier、NVIDIA DRIVE OS(オペレーティングシステム)、DRIVE AVソフトウェアスタックを含むNVIDIA DRIVE プラットフォームをベースとしている。開発を目指すソリューションは、最も厳しい安全度基準ASIL-Dレベルに適合するシステム、ソフトウェアエンジニアリング能力を有するコンチネンタルの経験に、レーダー、カメラ、高解像度3D ライダーといったコンチネンタルのセンサー技術が組みこまれる予定。
「未来の自動車は、認知、判断、操作を行なう走るコンピュータです。自動運転の複雑な機構は、AIスーパーコンピュータ並の演算処理能力が必要になります」。このように述べるのはコンチネンタルのCEO、エルマー・デゲンハート(Dr. Elmar Degenhar)氏。「NVIDIA社とともに、クラウドから自動車まで、全般的な自動運転ソリューションを提供します。新しいレベルの安全性、快適性、そして未来の自動車のパーソナライズ製を未来の車で達成するために、必要な性能と柔軟性を確実に確立できるのです」
NVIDIA社の創業者であり、CEOを勤めるジェンスン・フアン氏(Jensen Huang)は次のように述べている。「これで、AI 自動運転車を開発から大量生産へと移行させるうえで鍵となるすべての要素の準備が整いました。当社の最新の DRIVE Xavier プロセッサ、幅広い NVIDIA DRIVE ソフトウェア、そして、テスト、検証、機能上の安全性における「Cloud-to-Car」アプローチと、コンチネンタル の専門知識やグローバルな事業展開を融合させることで、自動運転車を全世界に普及させたいと考えています」
コンチネンタルのシステムの頭脳となるNVIDIA DRIVE Xavierはわずか30ワットの消費電力で、30TOPS (1秒あたり1兆回の演算)を達成するディープラーニング性能を備えている。自動運転車が実行しなければならないタスクに必要な、膨大なデータを処理するには、かつてないレベルの性能が欠かせない。それらのタスクには、ディープニューラルネットワークを実行して周囲の状況を検知したり、環境認識し、高精細地図上で車両の位置特定、他の物体の挙動と位置予測、車両力学を計算する、安全な進路を計画することなどが含まれる。
オープンなNVIDIA DRIVEプラットフォームがコラボレーションを可能に
コンチネンタルとNVIDIAは幹線道路での周囲360度の状況把握や車線変更と合流といった高度自動運転機能の開発から着手する。また、高精細地図を取り入れ車両が地図上で自車位置を特定できるようになると、地図の更新機能も搭載する。
コンチネンタルの先進運転支援システムに関する専門知識によって、多機能カメラ、魚眼カメラでのサラウンドビュー、短距離および長距離のレーダーセンサー、高解像度3D LiDAR技術に加え、支援運転・自動運転向け中央制御ユニットが統合される。2016年のコンチネンタルの先進運転支援システムの売上高は12億ユーロを超え、さらに、2020年までに25億ユーロに成長すると予測している。
「NVIDIA との協業によって、Continental は高度運転支援システムにおけるリーダーとしての地位を超えて飛躍し、現在の NCAP 要件からレベル 5 に至るまで、幅広い自動運転車向けシステムを提供できるようになるでしょう」。このように述べるのはIHS Markit のリサーチおよびアナリスト ディレクターであるルカ デ アンブロッギ (Luca De Ambroggi) 氏だ。