ついに日本上陸を果たしたランボルギーニ・ウルス。発表に合わせて来日した研究・開発部門ディレクターのマウリツィオ・レッジャーニ氏にお話を伺いました。
今はスポーツカーブランドがSUVを発売しても驚きませんが、やはりランボルギーニとなると別格。でも近年はランボルギーニのユーザーの中にもSUVを望む声が高まっていたのだそう。
「さまざまな調査の結果、顧客の希望が強いSUVをラインナップに加えることを決定しました」
そう語るのはランボルギーニの研究・開発部門のディレクターを務めるマウリツィオ・レッジャーニ氏。ムルシエラゴのプロジェクトリーダーを務め、その前はブガッティEB110の開発も担当していたという人物です。
しかし生粋のスーパーカーブランドであるランボルギーニのSUVとなると、その走りの性能には相当なレベルが要求されます。ウルスの走りをどのように煮詰めていったのか、レッジャーニ氏が語ってくれました。
「我々はレーダーチャートを作成し、既存の車種や競合車と比較しながら、物理的な要素を決めていきました」
「最も苦労したのは、コーナリングでの動きです。コーナーでは外側前輪に向けてクルマが傾いていきますが、その重心の移動を制御するのが大変難しかったですね。それをいかにコントロールしてフラットな姿勢にしていくか、そこが最大の問題でした。」
650ps、850NmのV8ツインターボエンジンを搭載し、305km/hの最高速度と0-100km/hが3.6秒という速さを実現しているウルスですが、やはり最大の難関はコーナーでのクルマの制御だったのですね。
「ウルスのプロジェクトでは、ふたつの大きな問題に直面しました。ひとつは重心の高さ、もうひとつは重量です。それによって生じる左右のロールと前後のピッチングを制御するものが必要だったのです。そこでアクティブ・ロール・スタビライゼーション・システムとエア・サスペンション・システム、そしてトルクベクタリングといった新しいシステムを開発しました」
レッジャーニ氏がウルスの走りで目指したのは、ランボルギーニにふさわしいものであるかどうか、ということ。そのランボルギーニの走りをレッジャーニ氏は「手にはめるグローブのようなもの」と表現してくれました。
「クルマを運転しているときは、すべてが迅速にコントロールできないといけないのです。まるで馴染んだグローブのように、意のままにね」
そう言って笑うレッジャーニ氏は、相当ウルスの走りに自信を持っているようです。プレミアムSUVの世界に、新しい時代がやってきたのは間違いなさそうですね。