プライメタルズテクノロジーズは、メキシコの鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタル・メキシコ社(ArcelorMittal México S.A. de C.V)より、メキシコ太平洋沿岸のミチョアカン州ラザロカルデナスの生産拠点向けとして熱間圧延機(HSM)と熱間スキンパスミル(HSPM)の納入契約を受注した。 HSMの設計年産能力は250万トン、HSPMの設計年間処理能力は65万トンで、2020年に稼働を開始する予定だ。
プライメタルズ テクノロジーズ(Primetals Technologies, Limited)は本社を英国、ロンドンに置き、金属鉄鋼産業における、エンジニアリングやプラント建設全般の世界的リーダーかつライフサイクル・パートナーだ。電機、オートメーション及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションを提供できる。プライメタル テクノロジーズは、日立製作所、IHIが資本参加している三菱日立製鉄機械と、シーメンス・グループのシーメンス VAI メタルズテクノロジーズ社の統合により発足した三菱重工のグループ会社だ。
プライメタルテクノロジーズが今回の熱間圧延機と熱間スキンパスミルを受注したことで、アルセロールミッタル・ラザロカルデナス社(ArcelorMittal Lázaro Cárdenas)は、現地工場で生産されるスラブの加工・処理が可能になる。このHSMは、電力供給、機械設備、駆動系、自動化を含めたターンキー方式で建設され、「全プロセス最適化」により、生産工程全体にわたる効率、生産の安定性、製品品質が向上する。このプロジェクトはメキシコの建設会社ロムシー社(LOMCCI S.A. de C.V)とWPコンストラクトラ社(WP Constructora S.A. de C.V)とのオープンコンソーシアム方式で実施される。
アルセロールミッタル・ラザロカルデナス社は、メキシコ最大の鉄鋼メーカーで、スラブの輸出企業である。同社は製鋼の主な鉄源として直接還元鉄を使用しており、均一な金属組織を持つ高品質のスラブを生産している。溶鋼の年間生産能力は530万トンで、現時点でのスラブの年間生産能力は380万トン。同社はプライメタルズテクノロジーズが供給する新設のHSMとHSPMにより、現地でスラブを加工・処理し熱間鋼板を生産できるようになる。
HSM は、粗圧延機と7スタンドの仕上げ圧延機から構成され、厚さ220mmまたは250mm のスラブを圧延する。ターンキー方式で供給される本圧延設備には、スラブ加熱炉、クロップシャー、プライメタルズテクノロジーズ独自のパワー冷却システムを搭載したストリップ冷却設備、ダウンコイラー2基、モジュール式コイルシャトルカーシステムも含まれ、プライメタルテクノロジーズは、すべての機器のエンジニアリングおよび製作・納入に加えて、水処理プラント、現場に分電される高電圧および中電圧による電力供給システム、ロールショップ、検査施設、必要な出荷ベイやクレーンの納入も行う。屋内1ヶ所、屋外2ヶ所にコイル保管倉庫も設けられる。HSPM は、高剛性の圧延スタンド、入側および出側リール、フラットナー、サイドトリマー、検査機器で構成される。
プライメタルテクノロジーズは機械設備に加えて、HSM、HSPM、コイル倉庫、水処理プラントなどを対象とするベーシックオートメーション(レベル1)、駆動系のエンジニアリングと機器納入、HSM 用のレベル2およびレベル3のオートメーション、ならびに工場インフラの電気設備に関する基礎エンジニアリングと機器納入を担当する。
HSMとHSPMは、鉄鋼生産工程全体を通して効率、生産安定性および製品品質を向上させるためにプライメタルズテクノロジーズが開発したノウハウベースの統合型ソリューションである「全プロセス最適化」により接続されまる。これに加え、ノウハウベースの「TPQC IT」システムにより、最先端で付加価値の高い製品を短納期で市場投入できるようになる。
メキシコのハリスコ州トラケパケを拠点とするWPコンストラクトラ社は、
1)出荷ベイの鋼構造建屋、 配管・ケーブル用ラック、空調設備、消防システムの基礎および詳細エンジニアリング、2)鋼構造物、 空調設備、消防システムの納入と据付、3)水処理プラントを含む機械、電気機器の据付、4)配管、ケ ーブルの納入と設置を担当する予定だ。同じくメキシコのメヒコ州ウイスキルカンを拠点とするロムシー社は、
1)杭打ちやコンクリート基礎の詳細エンジニアリング、2)コンクリートや石造建物の基礎 と詳細エンジニアリング、3)既存のコンクリート構造物の取壊し、4)設備機器の基礎、5)コンクリ ートや石造建物の土木工事を担当する予定。