前回はヤリスWRC仕様にTA64セリカグループB仕様、ST165&185セリカGT-FOURグループA仕様、世界耐久レース選手権に参戦したTS050ハイブリッドなど、モータースポーツ色を前面に打ち出しつつ、アクアTGRコンセプトや86GTソーラーオレンジコンセプト、TRD、モデリスタなどが手掛けたC-HRを展示したTOYOTA GAZOO Racing。2018年も同じ方向性でモータースポーツ参戦車両を軸に、2017年9月に発売された『GRシリーズ』を交えながらブースを展開していく。テーマは「Meister’s Workshop」。もっとワクワクする存在としてクルマを捉え、カスタマイズの楽しさを提案する。
一番の目玉は、WECへの参戦活動を活かした『GRスーパースポーツコンセプト』
12月15日付で出された、東京オートサロン2018に関するTOYOTA GAZOO Racingのプレスリリース。そこには“モータースーツ活動で培われた技術のフィードバックの一つの形として「WECへの参戦活動が生かされたコンセプトカー(GRスーパースポーツコンセプト)」を展示します”との一文が記されていた。それ以上の詳細な記述はなく、東京オートサロン会場でもどこまで詳しい情報が公開されるかはわからないが、GRブランドの頂点に位置するスーパースポーツであることは間違いなく、それだけでも非常に興味を掻き立てられる。実際に市販化までを想定したモデルなのか、あくまでもコンセプトカーという位置付けなのかも展示車両を見なければ判断できないが、モータースポーツ直系というところに期待せずにはいられない。
ル・マン24時間を戦ったTS050ハイブリッドの息吹
2017年シーズンのWEC(世界耐久レース選手権)を戦ったマシン。パワーユニットは2.4ℓV6ツインターボエンジンにモーターが組み合わされたハイブリッド仕様で、システム出力は1000psに達する。モーター/ジェネレーターユニットは小型化され、改良された高出力型リチウムイオンバッテリーと合わせて軽量化にも貢献。このようなハイブリッド技術はレースの世界だけにとどまらず市販車にもフィードバックされ、トヨタが標榜する「もっといいクルマづくり」につながっている。2016年モデルに対し、レギュレーションに合わせて空力特性を変更。また、サスペンションのジオメトリー見直しによってタイヤ摩耗の低減なども図られている。
ベースはヴィッツと同じヤリスWRC
2017年、トヨタが18年ぶりに参戦したWRC(世界ラリー選手権)。そのエントリーマシンとして選ばれたのがヤリス(日本名ヴィッツ)だった。エンジンは1.6ℓ直4直噴ターボで380ps以上を発揮。外観はヘッドライトやグリーンエリアにこそヤリスの面影を残しているが、開口部を大きく取ったフロントバンパーやワイドトレッド化のため全幅を拡大するオーバーフェンダー、前方が大きくえぐられたサイドシル、リヤにそびえ立つウイング、ディフューザー形状とされたリヤバンパーなど、空力性能を最優先してデザインされた戦闘的スタイルを見せる。2017年シーズンは第2戦スウェーデンと第9戦フィンランドで優勝。251ポイントを獲得し、マニュファクチャラーズランキングで3位という成績だった。2018年はさらなる活躍が期待される。
2014年のニュル24時間でクラス優勝を飾った86
市販車ベースのレーシングマシンで争われるニュルブルクリンク24時間耐久レース。2014年に参戦し、影山正彦/佐藤久実/蒲生尚弥組が総合54位、見事クラス優勝を飾ったマシンが展示される。エンジンはF20A改で200ps以上を発揮。決勝ではまったくマシントラブルがなく、ライバルたちを一切寄せ付けずに24時間を戦い切った。耐久性の高さはもちろん、86がスポーツカーとして高い資質を持っていることも証明してみせたのだ。
150台限定販売のスーパーコンパクト、ヴィッツGRMN
新たに構築されたGRシリーズのトップレンジに位置するGRMNモデル。そのうちの1台がヴィッツGRMNで、ベースの1.5ℓ直4に代えて、1.8ℓ直4スーパーチャージドエンジンを搭載する。目標スペックは210ps以上/25.5kgmが掲げられ、同クラス最強エンジンとなる見込み。これに6速MTが組み合わされる。車両本体価格は400万円。国内限定150台の販売で、2018年4月9日より商談申込受付が始まり、発売は同6月1日とアナウンスされている。抽選必至のスーパーコンパクトだ。
ドライバーの意志により忠実な走りを見せるGR86
ニュル24時間レースでクラス優勝を果たした86GRMNの遺伝子を受け継ぐモデル。走りを支える基本とも言えるボディ/シャシーは、フロントステアリングラックブレースとリヤサスペンションメンバーブレースを追加することで、よりダイレクトなハンドリング特性や高G旋回時の舵の効きを向上させ、リヤサスペンションの追従性も高めている。足回りはSACHS製ダンパーにローダウンスプリングを組み合わせた専用チューンドサスペンションが奢られ、操縦安定性と乗り心地を高いレベルで両立。ブレーキもフロント6ポット、リヤ4ポットのモノブロックキャリパーと放熱性に優れるドリルドローター(フロントは大径タイプ)が装着され、そのままサーキット走行も可能な容量とコントロール性を誇る。外観も、フロントバンパー、サイドステップ、センター出しマフラーを含むリヤバンパー、リヤウイングと専用品を装着し、高速域での空力特性を大幅に改善している。車両本体価格は496万8000円。
その他、TRD製エアロパーツを纏ったレ臭くLC500h、2017年のスーパーGT GT500クラスのシリーズチャンピオンを獲得したKeePer TOM’S LC500なども展示予定。