ZFは、2018年の「コンシューマーエレクトリックショー(CES)」でドライバーのストレス軽減と事故防止に役立つ新しいシステムを発表する。今日、運転者は車に装備された様々な機能の操作に難しさを感じる事が少なくない。ZFの新しい「コンセプト2020」では、全運転支援機能の状況を一目で把握する事が可能。またこのシステムは、ZFの先進統合安全機能を通して運転者に警告を伝える事もできる。さらに、「コンセプト2020」が運転支援システムの信頼性を飛躍的に高める事も、科学的に実証された。
シンプルな操作
一般的に、現在の乗用車に装備されている様々な支援システムの機能や操作方法は、直感的に理解できるようにデザインされていない。快適性と安全にかかわる機能が別々に作動するケースが多く、例えば、ドアミラーに取り付けられた警告灯、ウインカーレバーに統合されたスイッチ、インパネ内のマークやセンターコンソール内のLED表示など、スイッチ類や表示も異なった場所に取り付けられているケースがほとんどだ。
ドイツ、アーヘンの調査会社(fka Forschungsgesellschaft Kraftfahrtwesen mbH)との協力のもと、ZFはシンプルな操作系を組み込んだコックピット「コンセプト2020」を開発した。この製品では、全ての運転支援およびコントロール機能に関する動作情報が集約されており、ドライバーは中央に備え付けられたモニター、「ヘッドアップディスプレイ・インストルメントクラスター(HUDIC)」を通して自車を俯瞰して(バードビューで)見る事ができる。周囲360度を見わたす事で、運転者は、なぜ、どの程度運転支援機能が作動しているのかを理解する事ができる。
「コンセプト2020」のプロジェクトマネージャー、ウヴェ・クラスは以下の様に語っている。
「航空機にはおよそ100年前から人工的な地平線などのイメージ表示が装備されるようになり、それらは現在でも使われています。航空機に使用されるこういった手法では、パイロットが膨大な量の情報を効率よく把握する事が可能です。同じコンセプトが将来クルマにも役立つと考えます。例えばステアリングホイールは、航空機の操縦桿の様に上下の無いものになる事も考えられます」
アクティブでバーチャルなクルマの「オーラ」
シートベルトアシスト
「アクティブバックルリフター(ABL)」、「アクティブコントロールリトラクター(ACR)」プリテンショナーが一体となったシートベルトシステムも「コンセプト2020」に組み込まれている。ZFの「ACR8」モデルには電子制御システムが取り付けられており、衝突回避が不可能と判断した場合にはシートベルトの緩みを事前に巻き上げる。また、シートベルトには警告機能も備わっており、運転者による操作が必要となった場合には振動でドライバーに伝達する。
「コンセプト2020」に関する研究
「コンセプト2020」の開発にあたっては、シミュレーターを使用した科学的な研究が行われた。
一般の自動車ユーザーを招いての調査において、当製品の場合、モニターは説明を受けず、直感的に操作系やスクリーン上の表示を理解できる事が確認された。また、現在使用されている一般的な運転支援機能と比較した場合、最高レベルに設定した場合のAVAが最も安全性が高いと感じるという結果も得られた。さらに「コンセプト2020」の場合、ディスプレイ表示と実際に起こっている事象が直感的に一致するように設計されているため、ドライバーの自動運転に対する信頼性が向上する事も判明した。
様々な調査の結果、「コンセプト2020」が車の運転をシンプルで安全にし、さらに自動運転機能への信頼性の向上に貢献できる事が分かっている。