多人数乗車を求める声に応えるマツダからの回答は、3列シートを持つクロスオーバーSUVだった。
しかしこのCX-8、先に登場した弟分のCX-5と同じく、ことごとくSUVの匂いがしない。
エクステリアも、インテリアも、そして走りも、まるで高級サルーンの如き立ち振る舞いなのだ。
REPORT&PHOTO◎小泉建治(KOIZUMI Kenji)
生活感はゼロ! 妖艶すぎるインテリア
走りは、まんまスポーツサルーン!
そしてマツダのフラッグシップに
今回の試乗会が行われたのは横浜界隈で、ワインディングを楽しんだり、高速道路をガンガン走るようなシーンはナシ。それでもCX-8の方向性は十分に感じ取れた。それはつまり、SUVというよりも、サルーンの新しい形を模索した結果がこうなった、 ということ。そんな感想を試乗後に企画設計部の方に伝えると、「まさにその通りですね」との答え。走りも、デザインも、これぞ次代のサルーンの形ですよ、などと知ったように講釈たれる筆者の言葉に「そうです、そうです」といちいち頷いてくださる。
ただ、あまりにサルーン的な面ばかりに言及し、SUVとしての資質に触れない筆者に違和感を覚えたのか、「でも、CX-8はマツダなりに『SUV』の理想形を徹底的に追求したクルマなんですよ」とクギを刺された。上質感を強調してくれるのはいいんだけれど、オフロード性能やユーティリティ性能を忘れてもらっては困る、というわけだ。
でもね、たとえばカタログを見たって、オフロードの写真なんて一点もありゃしない。全部、大都会の街中で、出てくるモデルはヒゲとメガネとスーツがキマリ過ぎのビジネスマン風ダテ男じゃありませんか。ちなみにこの大都会のロケ地、シカゴですよね? 自分、地理マニアですから。
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「ただ、ウチには上級サルーンとしてアテンザがありますから。CX-8は、やはりファミリーユースやアウトドアユースも視野に入れたクロスオーバーSUVなんですよ」
では、御社の社長はどちらに乗られていらっしゃるのですか?
「……CX-8を……注文したと聞いております……」
ほらやっぱり。CX-8はマツダの社長車として使われるほどの高級サルーンなのである。
もちろん7人乗れるし(6人乗りもあり)、たっぷりとしたロードクリアランスのおかげで悪路走破性にも優れるだろう。でもCX-8なら、高級サルーンの代わりとしても十分に通用する。高い視点や乗り降りのしやすさは、SUVのほうが有利だったりもする。近い将来、こうしたSUVがクルマのフォーマルな形となり、サルーン(セダン)は一種の様式として残るだけとなっても筆者は驚かない。
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Specifications
マツダCX-8 XD L-Package(2WD)
全長×全幅×全高:4900×1840×1730mm ホイールベース:2930mm 車両重量:1830kg エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 排気量:2188cc ボア×ストローク:86.0×94.2mm 圧縮比:14.4 最高出力:190ps/4500rpm 最大トルク:450Nm/2000rpm JC08モード燃費:17.6km/L 車両価格:395万8200円