様々なシーンに応じてラインアップされるオープンカントリーシリーズ。その中でも極めて実用性の高いタイヤこそ「オープンカントリーA/Tプラス」だ。しかもオールテレインタイヤとしてリリースされているものの、オフロード走行まで耐える性能をもつ。その実情をレポートしよう。
REPORT◎斎藤 聡(Satoshi SAITO)
PHOTO◎小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
シーンを選ばずに活躍する”オープンカントリーA/Tプラス”
TOYO TIRESの「オープンカントリーA/Tプラス」は、SUVやCCV向けのタイヤだ。ちなみにCCVとは“クロス・カントリー・ビークル”の略でクロカン4駆や4×4と呼ばれているカテゴリー。A/Tはオールテレインの略。オフロードタイヤの中でももっともポピュラーなカテゴリーで、泥濘地(マッド)からオンロードまで広く守備範囲にする。
トレッドデザインは、泥濘地でのトラクション性能を配慮したタフなデザインで、左右非対称パターンになっているのが特徴だ。基本デザインを縦溝主体のリブパターンとすることで操縦安定性やロードノイズに配慮しながら、アウト側2列目ブロックに大きく切れ込みを入れることで、オフロード走行時のトラクション性能を高めている。
また、トレッドからサイドウォールへのつなぎ目となるバットレス部にもデザインが施され、オフロード走行時のトラクション性能を向上させるとともに、タフなイメージを強調している。
最近オンロード向けSUVが増えたことで、オフロードタイヤといってもオンロード志向を強めたタイヤが多い。そんな中で、オフロード性能をしっかり備えた本格派のオールテレインタイヤはむしろ新鮮だ。乗り心地も、さぞや“タフ”なのだろうと思われるかもしれないが、実はびっくりするくらいマイルドでスムーズな乗り心地をもっている。これがオープンカントリーA/Tプラスの特長でもある。
いくつか理由はあるが、ひとつはリブパターンを採用していることで、ノイズや振動の原因となる横方向のエッジが少ないこと。またブロックにオフロードでのトラクションを目的にサイプ(極細溝)が施されているが、これがブロック剛性を適度に落とし、マイルドな路面とのコンタクト感を作り出している。
コンパウンド自体もシリカを配合したスペシャルシリカコンパウンドを採用しており、適度にコンパウンドに柔軟性を与えている。シリカを配合する目的は、ウエットグリップ性能を高め、耐摩耗性が向上することにあるが、シリカ配合コンパウンドは転がり抵抗を低減(配合度合いによるが)する効果もあり、乗り味がスムーズで滑らかになる傾向がある。オープンカントリーA/Tプラスにもそんな効果が出ているかもしれない。
オフロード性能を保証した、総合力の高いオールテレインタイヤ!
いずれにしても乗り心地がとても良いのがこのオープンカントリーA/Tプラスの意外な特徴であることは間違いない。荒れた舗装を走っていても“ゴツゴツ”した硬さが伝わってこず、“スルスル”と走ってくれるし、高速道路を走っているときのスムーズなタイヤの転動感も印象的だ。
ロードノイズが少ないのも特徴だ。乗用車用のタイヤほどではないものの、多少ざわついたノイズは存在するのだが、耳障りなノイズが抑えられているので、実際にはかなり静かに感じる。
操縦性は素直。タイヤケース(骨格)とブロック剛性のバランスが上手くとれているからなのか、高速道路でのレーンチェンジや山道でのコーナリングでタイヤのヨレがほとんど感じられない。ハンドルを切り出した時のレスポンスはそれほど鋭くないが、応答は微小舵領域からきちんと出ており、ハンドルを切った通りに素直に反応してくれる。
もちろん、オフロードでの性能もいい。泥濘地にタイヤを踏み入れてタイヤが空転する場面に陥っても、あせってアクセルを踏み過ぎなければ、泥を掻くようにトラクションが効いてクルマが前に進んでくれる。当然、4×4の基本性能があってこそだが、そんな走りを楽しむことができるくらいオフロード性能も高い。
このオープンカントリーA/Tプラスは、CCVユーザーに文句なしにオススメのタイヤだ。騒音性能や燃費性能を高めながらも本格派オールテレインタイヤとしてオフロード性能を保証し、しかもアグレッシブなデザインを採用している総合力の高いタイヤだと言える。と同時に、ファッションとしてもこのタイヤの選択は“アリ”だ。多くのSUVユーザーにとって、実際にフロードを堪能するという場面は少ないかもしれないが、本格性能を備えているタイヤを履いているということが大切、実用性は極めて高い。クルマの楽しさを広げてくれるタイヤだと思う。
【予告】今回テストした、斎藤 聡氏による「オープンカントリーA/Tプラス」の動画を近日公開予定。