トヨタ自動車は、12月18日、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車の開発・展開を軸とした、2020年代~2030年までの電動車普及に向けた「トヨタ、電動車普及に向けたチャレンジ」説明会を行なった。
(FIGURE:TOYOTA)
トヨタは、電動化に向けた意欲を表に出すようになった。12月12日には、水素ステーションの本格整備を目的とした新会社を2018年春に設立することを11社と合意したことを発表。翌13日には、パナソニックと車載角形電池事業の協業について検討を開始すると発表したばかりだ。
「日本の自動車メーカーは電動化で世界に後れをとっている」というような論調の報道に対して、トヨタとして、きちんと主張していこうという意志も見える。
今日、行われた発表会でも、2020〜2030年までの電動化に向けたチャレンジを数字を挙げながら具体的に説明した。
以下は、トヨタのプレスリリース。
「トヨタの電動車普及に向けたチャレンジ」と題された寺師茂樹トヨタ自動車取締役・副社長のプレゼンテーションも抜粋して掲載する。
車両電動化全般
• 2030年に、グローバル販売台数における電動車を550万台以上、ゼロエミッション車であるEV・FCVは、合わせて100万台以上を目指す。
• 2025年頃までに、HV・PHV・EV・FCVといった電動専用車およびHV・PHV・EVなどの電動グレード設定車の拡大により、グローバルで販売する全車種を、電動専用車もしくは電動グレード設定車とする。これにより、エンジン車のみの車種はゼロとなる。
EV・FCV
• EVは、2020年以降、中国を皮切りに導入を加速し、2020年代前半には、グローバルで10車種以上に拡大する。(中国に加え、日本・インド・米国・欧州に順次導入)
• FCVは、2020年代に乗用車・商用車の商品ラインアップを拡充する。
HV・PHV
• HVは、トヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)を高性能化するとともに、ハイパワー型、簡易型など多様なハイブリッドシステムを開発し、お客様の様々なニーズに合わせて商品ラインアップを拡充する。
• PHVは、2020年代に商品ラインアップを拡充する。
トヨタは、「地球温暖化」「大気汚染」「資源・エネルギー問題」という地球環境問題に真剣に取り組んでおり、これらの社会課題の解決のためには、燃料の効率的利用と代替燃料の利用促進に有効な、車両の電動化が不可欠であると考えています。2015年10月に発表した、持続可能な社会の実現に貢献するための「トヨタ環境チャレンジ2050」では、2050年にグローバルでの新車平均走行時のCO2排出量を、2010年比で90%削減する「新車CO2ゼロチャレンジ」を設定しており、今回の電動車普及に向けたチャレンジは、その達成に向けた中長期施策の一つです。
トヨタは従来より、電動車の開発・市場投入を積極的に進めており、1997年には電動車の先駆けとなった「プリウス」を発売し、以来20年にわたり普及に取り組んでいます。2012年に投入した「プリウスPHV」は、2017年にEVモード走行距離を大幅に拡大した2代目を発売しました。また、2014年には量産FCV「MIRAI」を日本で発売し、その後、米国・欧州でも発売しました。こうした取り組みにより、トヨタが世界で販売した電動車は、累計1,100万台を超えています。
今後、さらに多くのお客様により良い電動車をお届けするため、電動車のコア技術の一つである電池については、次世代電池として性能向上が期待される全固体電池を、2020年代前半での実用化を目指し開発を進めています。また、業界ナンバーワンの車載用角形電池を実現し、トヨタのみならず、広く自動車メーカーの電動車の普及に貢献すべく、パナソニック株式会社と車載用角形電池事業の協業内容を検討していきます。
また、電動車の普及を支える社会基盤の整備にも力を入れていく予定です。具体的には、電池のリユース・リサイクルの仕組みづくりや、充電ステーション、水素ステーションの整備についても、関係機関やパートナー企業と協力しながら、積極的に取り組んでいきます。
トヨタは今後も、「技術開発」「商品」「社会基盤の整備」といった、あらゆる方面で電動化の取り組みを加速させ、「持続的な社会の実現」と「お客様の笑顔」のための活動を進めていきます。