BMWの320iと言えば、Dセグセダンの王道モデルだ。エンジンは2.0ℓ直列4気筒ターボ。この4気筒ターボ、同じ320iでも前期型のN20型から後期型のB48型へと搭載エンジンが変更されている。さて、それぞれをじっくり見てみよう。
現行BMWのBシリーズは燃焼室形状を固定とした設計で、バリエーションは気筒数と過給圧違いによって創出する。縦横方向ともに搭載があり、下は1シリーズから上は7シリーズまで、文字どおりのフルラインアップ対応という具合だ。
3気筒=1.5ℓのガソリンエンジンがB38/ディーゼルエンジンがB37
4気筒=2.0ℓのガソリンエンジンがB48/ディーゼルエンジンがB47
6気筒=2.0ℓのガソリンエンジンがB58/ディーゼルエンジンがB57
この6機種のエンジンでほぼすべてのラインアップを構成する、というのがBMWのエンジン戦略だ。
BMW現行3シリーズは、このB系のエンジンを積む。しかし、前期型はN系のエンジンを搭載していた。前期型320iが搭載していたのが、N20型2.0ℓ直列4気筒である。
ここでは、BMW3シリーズの中核をなす「320i」のエンジンを新旧で比較してみよう。
旧→N20
新→B48
というわけだ。
旧 N20型直列4気筒DOHCターボ
前世代のN43型に代わってN20が登場したのが2011年。排気量は2.0ℓのみで、過給圧などの二次的要素で出力はトルクを大幅に動かして仕様を作り分けていた。アルミライナー鉄溶射、14mmオフセットクランク、ツインスクロールターボ、電動式ウォーターポンプに可変容量オイルポンプ、バルブトロニックのみならず吸排気可変バルブタイミング、オイルパンに2本を上下に並べる形で仕込んだ二次バランスシャフトなどBWMの手持ちの技術を惜しみなく注ぎ込んだユニットである。
320iの搭載エンジンはN20B20A型で135kW/270Nm。
新 B48型直列4気筒DOHCターボ
3/4/6気筒のガソリンとディーゼルをブロックや周辺技術まで共用するというBMWの新モジュラーエンジンシリーズ。このB48型2.0ℓ直列4気筒エンジンは、その中核をなすガソリンエンジンだ。おそらく、BMW車のなかでもっとも量販されるエンジンが、このB48だろう。従来のN20型よりロングストロークになったが、BMWが「TwinPower Turbo Technology」と呼ぶ、ツインスクロール・ターボ、燃料筒内直接噴射、可変バルブタイミング&リフトであるバルブトロニック、ダブルVANOSなど、BMWのガソリンエンジン技術のすべてを搭載している特徴は前型N20と同じ。B48もB38と同様に縦置き(B48B型)と横置き(B48A型)がある。
320iが搭載するB48B20Aは135kW/270NmでN20と同一。330iはB48B20Bとなり、圧縮比を11.0から10.2へ下げ過給圧を上げることで185kW/350Nmのパワースペックになる。330iも4気筒エンジンなのだ。
N20 vs B48エンジンスペック比較
旧:N20B20A 新:B48B20A
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ(縦置) 直列4気筒DOHCターボ(縦置)
排気量:1997cc 1998cc
ボア×ストローク:84.0×90.1mm 82.0×94.6mm
圧縮比:11.0 11.0
最高出力:135kW(184ps)/5000rpm 135kW(184ps)/5000rpm
最大トルク:270Nm/1250-4500rpm 270Nm/1350-4600rpm
ボアピッチ:91mm 91mm
シリンダーブロック:アルミ合金製・オープンデッキ アルミ合金製・クローズドデッキ
燃料噴射システム:筒内燃料直接噴射(DI) 筒内燃料直接噴射(DI)
HDEV5.2(Max200bar) HDEV5.2(Max200bar)
ECU :MEVD17.2.4 DME8.4.0