隔年開催の北京と上海モーターショーに次いで中国で大きく、そして重要なショーが広州モーターショー。新聞やテレビではわからない広州モーターショーの「ちょっと深い話」を4回にわけて、Car Styling編集長の松永大演がレポートする。まずは、ホンダが持ち込んだコンセプトカーが「C001」だ。
C001が示すもの、それはまさに中国で最初の作品を示すものだ。ホンダが中国・広州に新たなデザイン拠点、本田技研科技(中国)有限公司(HMCT)を築いたのは2016年1月。実はこれは広州ホンダとは異なる立ち位置にある。広州汽車グループとして展開される広州ホンダは、どちらかというと既存のモデルからの発展。より現状にあった量産車を創出している。それに対して広州のデザイン拠点は、R&Dの拠点としてホンダ本体のデザイン部につながる。
そのため、今後の中国車のビジョンやトレンドを捕まえて、提案していく狙いも持っている。そのなかで構築してきたのが、このデザイン部での体制だ。日本人の数はごく僅か。中国人スタッフを精力的に起用し運営していくことにも主眼が置かれている。そのため日本系企業としてもスタッフはかなり若く、まるで中国自動車メーカーのデザイン部のようだ。
実は中国の自動車メーカーは、かなり若いスタッフが中心となって構成されている。とりわけデザイン部はその象徴で、柔軟な発想が活かされる職場となっている。
その中国的傾向をうまく取り込んで構成されているのが、中国のホンダR&Dと言えるだろう。そこから生まれたのが、コンセプトカーのホンダC001だ。CはChina、001は1番目とのこと。
「とにかく、ようやくここまできました」と名倉隆HMCT造形部長はいう。
一見するとエクステリアだけのスタイリング・スタディのようにも見えるが、よく見てみるとさまざまな要件をクリアする造形であることがわかる。歩行者保護に向けたボンネット形状や、Aピラーの立ち方、リヤシートの居住性には6ライトを採用する理由が関連しているようだ。そしてトランクスペース。
さらにグリルレス化(正確には必ずしも冷却導風がラジエーターグリルでなくてもいい時代に向けた)についても、そのその後の顔作りに対するトライアルを窺うことができる。
この伸びやかなスタイリングの中に、熟慮されたこのモデルの本質が潜んでいる。
さらにこの優雅さ、強いキャラクターラインが入りながらも、あくまでも優雅な面構成は、中国の悠久の歴史を思わせる、といえばいいすぎだろうか。
ここから始まる中国拠点のデザインが、大きくホンダデザインに影響を与える日も、それほど遠い未来ではないかもしれない。