この秋、トライアンフのストリートトリプルシリーズに追加されたR LOW。そのメディア向け試乗会が富士スピードウェイで行われた。しかし当日の天気は雨。悪天候の中の試乗だからこそ、さまざまなことが見えてきた。(REPORT:近田 茂)
シート高約30mm以上ダウンで万人向けに
ウェット路面で分かった足周りの信頼性
さて去る9月19日に新気投入のR LOW を中心にストリートトリプルの発表試乗会が開催された。試乗会場は富士スピードウェイのショートサーキット。もちろん公道走行もOK。当日はあいにくの激しい降雨に見舞われてしまったが、かえって良い印象を発見することができたと思う。
水溜まりも多い完全ウェット路面だったので、エンジンマネージメントはレインモードでコースイン。当然パワーは控えめで出力変化も穏やかな設定となるわけだが、3気筒独特のトルク感は十分な太さを実感できる。しかも扱いの軽快感はスリッピーなコンディションでも自由自在になるグッドハンドリングに貢献し雨中走行でも不安感が少ない。
それでもスロットルをワイドオープンすれば3速でもテールスライドを誘発する底力は侮れない。もっとも即座に電子制御が介入して車両の安定が保たれるから、ライダーの失敗を防いでくれる安心感も大きい。
モード選択でキャラクターが激変
頼りになるブレーキもシッカリとした利きと緻密なABS制御が発揮されて不安なく使えてしまう。またコーナリングでは、バイクを深く寝かし込まなくても旋回ラインをイン側へと向ける操作がしやすかった。
結果的に仮にオーバースピードでコーナーへ進入したような場合でも、ブレーキ、操縦性、出力特性の総合力の良さが発揮されて、コースアウトを未然に防ぐ走りがしやすかったわけだ。すべりやすい雨でもビビることなく安心して走れてしまったこと、気持ちが平静でいられた点は高く評価できる。
標準モードで走れば断然パンチの利いた出力特性が発揮され、おそらく一般ストリートでは誰にも負けない一級のハイパフォーマンスが期待できることも間違いなさそう。晴れたドライコンディションで、改めて試乗し再レポートしたいと思ったのが記者の本音だ。