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【東京モーターショーTECH】狙うは欧州市場? アイシン精機ハイブリッドトランスミッション


アイシングループはパワートレーンからシャシー系まで、さまざまな部品・ユニットを開発・製造している。得意分野のひとつが変速機であり、今回の東京モーターショーでは1モーター方式のFF車用8速ATを披露した。


TEXT&PHOTO:牧野茂雄

エンジン取り付け部分とは反対側。向かって右に最終減速ギヤ〜出力軸がある。左側は変速に必要な油圧を供給するバルブボディ。

エンジン取り付け側(向かって左)には振動吸収用のバネ式トーショナルダンパーを備える。黒い樹脂カバーの中がバルブボディ。

今回の東京モーターショーで披露したのは、すでに製品化されている8速ATからトルクコンバーターを取り外し、代わりにモーターを組み込んだものだ。採用されているひとつひとつの技術的にはすでに実績があり、すぐにでも製品化できるユニットと言える。




通常はトルクコンバーターがある位置にリング状の電動モーターがある。モーター軸はそのまま8ATの変速機構につながり、最終減速ギヤを経て車輪へと出力される。モーター内側には湿式多版クラッチを備え、このクラッチを接続するとエンジン出力とモーター出力が合流する。切り離した状態では電動モーターの出力が8ATを経て車輪に向かう。




実際の車載状態では、発進はモーターだけで行なう。おそらく、もっともモーター効率の高い回転数にモーターの回転を維持し、スタートに必要なトルクを負担し、1速→2速くらいの変速が行なわれるのだろう。クルマがある程度のスピードになるとエンジン出力が合流し、モーター回転+エンジン出力の合計が8速ATに入る。モーターと変速機はつねに繋がっており、切り離すことはできないが、どのようにモーターを利用するかは「このシステムを搭載するクルマ側によりけり」である。アイシン精機によると「発進からどれくらいの車速までモーターを使うかは搭載されるバッテリーの容量次第」「燃費をねらうこともできるし、エンジン出力をモーターが補助することでの加速性能にも期待できる」とのことだ。

エンジン取り付け側のクローズアップ。リング状の部分がモーターで、モーター軸を囲むように湿式多版クラッチが配置される。

通常のアイシン8AT。エンジン取り付け側(向かって左側)にロックアップクラッチ、トルクコンバーター、回転増幅用のステーター(白い水車状の部品)がある。

このモーター内蔵変速機は、トヨタがプリウスなどに採用しているTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)とは違ったハイブリッド=混合動力システムである。しかし競合はしない。プリウスやアクアは日本の交通事情にほぼ最適化された設計だが、この電動8ATは日本よりも使用速度域が高い地域、たとえばヨーロッパの交通事情では真価を発揮するだろう。ユニット全体の大きさは通常の8ATとほとんど変わらないから、多くのエンジン横置きFF車両に搭載できる。汎用性の高いユニットであり、当然、アイシン精機は現在の同社ATの顧客である海外メーカー(フォルクスワーゲンやオペルなど)への売り込みも行なうはずである。

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