前回のボディ編に続いて今回は3代目カイエンのパワートレインに関して解説しよう。新たに開発されたセンターターボレイアウトの採用など、パワー&トルクアップを実現したその背景に迫る。
REPORT◎山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
トランスミッションは、全モデルが最新の8速ティップトロニックSで、最大で1100Nmものトルクを受け入れる能力を誇る。フロントアクスルのデファレンシャルは、このトランスミッションに一体化され、ギア比はターボのみが異なる設定となるが、7速と8速がオーバードライブとなることは共通している。駆動方式は、電子制御多板クラッチを使用したPTM=ポルシェ・トラクション・マネージメントシステムによるフルタイム4WD。リヤアクスルデファレンシャルも新型カイエンのために新設計された。
ポルシェから発表された、新型カイエン各車の運動性能はどれも刺激的なものばかりだ。トップモデルのターボは、車重が2175kgに達するにもかかわらず、0→100km/h加速で3.9秒(スポーツクロノパッケージ装着車)、最高速は286km/hを達成。Sとカイエンも同様に、4.9秒&265km/h、5.6秒&245km/hという数字を誇る。もちろんそれは、ポルシェが新型カイエンを開発するにあたり要求した性能の、ごく一部分のみを象徴するものだ。プレミアムSUVたるカイエンには、いつの時代もオンロードでの運動性能のみならず、オフロード・パフォーマンスや長距離移動における快適性、あるいはトレーラーとしての性能なども期待されている。ポルシェによれば、新型カイエンに搭載されるパワーユニットは、今後さらに拡充されていく計画とのこと。ディーゼルやPHEVなどを含め、最終的にモデルラインアップは前作と同様に非常に幅広いものになるだろう。