ルネサス エレクトロニクス株式会社は、車載情報システム用SoC(System on Chip)「R-Car」向けに、2017年8月22日にGoogleから発表された最新のOS(Operating System)であるAndroid 8.0に対応したR-Carリファレンスパッケージ for Androidの提供を開始する。
最新OSとなるAndroid 8.0は、あらかじめ車載システムに必要な機能への対応が組み込まれた初のバージョンで、ルネサスの堅牢で高いセキュリティを誇る車載情報システム用SoCと組み合わせることで、車載情報用プラットフォームをAndroidで構築することを、より容易にする。R-Car リファレンスパッケージfor Android は、ハードウェア環境としてR-Carのリファレンスボードと拡張ボード、ソフトウェアとして最新のAndroid 8.0に対応したBSP(Board Support Package)から構成され、2017年10月より提供を開始する。
R-Carリファレンスパッケージfor Androidは、車載用アプリケーションの開発経験のないソフトウェアエンジニアにとっては参入が容易になる一方で、Androidアプリケーションの開発経験のないソフトウェアエンジニアにとってはAndroidの強力なエコシステムや既存のアプリケーション資産を活用することが容易になるというメリットがある。
Androidプラットフォームは、スマートフォンを中心に世界中に普及している。そのため、すでにAndroidをベースにしたエコシステムが形成されており、豊富なアプリケーション開発者を有している。このエコシステムを背景に、スマートフォン以外の分野への応用も進んでいるが、従来、車載用に適用するには、スマートフォン向けに作られたAndroidをカスタマイズする必要があった。
今回のAndroid 8.0ではAndroidとしては初めて、車載対応のためのフレームワークが標準で搭載された。そのため、R-Car リファレンスパッケージ for Android を使用すれば、Android 8.0を車載用に容易に適用可能になる。これにより、スマートフォン用の高度なクラウドサービスがシームレスにクルマでも利用できるようになり、またクルマ向けに新たなクラウドサービスが開発されることが期待される。
ルネサスは、Renesas autonomyのコンセプトの下、自動運転の実用化を加速させる各種ソリューションを提供している。その一環として、クラウドと連携した新しいサービスを実現するため、コネクテッドカーに向けた技術開発に注力している。ルネサスは、今後もR-Carを常に最新のAndroidに適合させることで、コネクテッドカー時代の車載情報システム開発をリードしていくという。