フランクフルト・モーターショーのベントレーのブースにはフルモデルチェンジを果たしたコンチネンタルGTが搭載する6.0ℓW型12気筒ターボが鎮座していた。
新型ベントレー・コンチネンタルGTが搭載するW12エンジンは、新型に合わせてさまざまな改良が施されている。
そもそも、W型の自動車用エンジンをもっているのは、現在ではVWグループだけだ。ブガッティ・シロンが搭載するW型16気筒とベントレーが搭載するW型12気筒である。コンチネンタルGTが搭載するのは、ターボ版の6.0ℓW12TSIである。
高級車用に特化した少量生産のW12だけに、294の部品を6.5時間かけて手組みされる。
TSIの名前通り、燃料噴射は直噴だ。今回、直噴にMPI(マルチポイントインジェクター=ポート噴射)を組み合わせている。つまりDI/PFI併用になったわけだ。
直噴の噴射圧は20MPa(200bar)、MPIは6barである。DI/PFIを併用するのは、燃費向上とPN(パーティキュレート・ナンバー)対策だ。
CO2排出量は278g/km。ユーロ6フェイズ2とUS ULEV 125(LEV3)に対応。CO2排出量は先代コンチネンタルGTより16%も改善されている。
シリンダー表面には、大気圧プラズマスプレー(APS)法を用いたコーティングを施している。もちろんフリクション低減のためだ。
エキゾーストマニフォールド一体型のターボはツインスクロール・ターボである。
燃費対策は、このクラスとしては徹底していてギヤが3速ー8速で3000rpm、300Nm以下の場合、エンジンの片バンクが止まる気筒休止システムを搭載している。もちろん、スタート/ストップシステム、コースティング機能も搭載している。
エンジンマネジメントシステムは最新世代のボッシュMG01を採用。デュアルECUアプリケーションで作動する。ハードウェアで毎秒3億回の計算を実行する一方、ベントレーのエンジニアは、1500近くの機能に対して5万項目のソフトウェア設定を最適化したという。
エンジンマウントはアクティブ式。
組み合わせるトランスミッションは、8速DCTである。これは新型ポルシェ・パナメーラと同じZF製8速DCTだろう。
巨大なW12ターボで得られるパフォーマンスは0-100km/h加速:3.7秒、最高速度:333km/hである。
6.0ℓW12TSI
W型12気筒DOHCツインターボ
排気量:5998cc
ボア×ストローク:84.0×90.2mm
最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク:900Nm/1350-4500rpm
ブロック材:アルミ合金
燃料噴射方式:筒内燃料直接噴射(DI)
可変バルブタイミング:In-Ex