![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_main10001026_20170914183354000000.jpg)
時代は遂にスーパーカーをも超越する世界に到達してしまった……。メルセデスAMGが用意したこの「プロジェクトONE」は、自ら”公道走行が可能なF1マシン”という、新世代のハイブリッドスポーツ。フランクフルト・ショーでもっとも注目されていたこのハイパーカーの実情をレポートしよう。
REPORT◎山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_43420_201709141834180000001.jpg)
かねてからメルセデスAMGがその開発プロジェクトの存在を広くアピールしていた新型ハイパーカー「プロジェクトONE」が、ついにフランクフルト・ショーでワールドプレミアされた。前身である
AMG社の誕生から数えて創立50周年にあたる今年、メルセデスAMGはそれを祝すために、さまざまなイベントを用意してきたが、プロジェクトONEの発表は、まさにそのハイライトともいえるものだ。実際に275人に限られるカスタマーが順次それを手にするようになるまでには、さらに18ヶ月が必要になるが、それでも斬新なエンジニアリングやデザインの話題性、そしてハイパーカーの世界における圧倒的な存在感というものは、今後一切変わることはないだろう。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_43422_201709141835430000001.jpg)
メルセデスAMGは早くからこのプロジェクトONEを「オンロードでの走行が可能なF1マシン」であると説明してきた。このコンセプトが最も強く表れているのは、やはりパワーユニットの構成で、まずミッドにレブリミットが1万1000rpmとされる、1.6ℓ仕様のV型6気筒エンジンを搭載。それに2基のエレクトリックモーターを組み合わせ、ひとつはエンジンとともにリヤアクスルを駆動、もうひとつはターボチャージャーのタービンを駆動する役割を担う。さらにフロントアクスルにも、2基のエレクトリックモーターが搭載されるが、これはもちろんF1マシンには存在しないメカニズム。つまりプロジェクトONEは、最新のF1マシンの技術をそのままロードカーで再現したものではなく、ここからさらなる進化を果たしたハイパーカーといえるのだ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_43424_201709141837070000001.jpg)
注目の最高出力は、V型6気筒エンジンを核とするミッドのパワーユニット一式から680ps以上、それにフロントのエレクトリックモーターが発揮する163ps×2のパワーが加わり、システム全体ではトータル1000ps以上の数字を得ることになるという。これに8速のギアボックスを組み合わせ、0→200km/h加速を6秒以下で、また最高速では350km/h以上を可能にする。その一方で、フロントのエレクトリックモーターのみを使用した、ゼロエミッションのEV走行も約25kmが可能だ。
F1パイロットのルイス・ハミルトンによって、フランクフルト・ショーの壇上へと導かれたプロジェクトONEは、そのエクステリアデザインでも想像をはるかに超える美しさ、そして機能性を感じさせるモデルだった。CFRPをメインマテリアルとするボディは、独特な迫力とともに、メルセデスAMGならではの繊細なデザインが施されたもの。エアロダイナミクスはもちろん現代の最高水準にあることは間違いなく、走りへの期待はさらに大きくなる。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_43426_201709141837390000001.jpg)
跳ね上げ式のドアをオープンすると視界に飛び込むインテリアは、これもまた魅力的なフィニッシュだ。プロジェクトONEは、現代のハイパーカーの例に漏れず、軽量で高剛性なCFRP製モノコックタブを基本構造体とするが、シートはあらかじめこのモノコックと一体化されており、シートポジションではなく、ペダルポジションを調整することで、ベストなドライブスタイルを得る仕組みだ。上下のリムがフラットなデザインのステアリングホイールは、もちろんF1マシンとの関連性を直感的に意識させてくれるもの。そしてメーターパネルやインフォテインメントシステムなどからは、プロジェクトONEがあくまでもロードカーであることを感じるだろう。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_43428_201709141838340000001.jpg)
前でも触れたとおり、プロジェクトONEはこれからさらに最終的な開発スケジュールを消化し、18ヵ月後にはファーストモデルがカスタマーにデリバリーされる予定。
今回発表されたモデルは、あくまでも最終的な仕様に近いプロトタイプということになるが、プロダクションモデルの仕様は、これとほぼ変わらないと考えてよいだろう。ちなみに275人のカスタマーは、すでに決定済み。気になる価格は、日本円に換算すると約3億円。それを驚異のハイパーカーと呼ばずに、何と表現すればよいのだろうか。
![]() | ![]() |
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10001026/big_43431_201709141840030000001.jpg)