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【海外REPORT_SEMA SHOW2018】全米最大規模のカスタムカーのビッグイベント【前編】


世界一のトレードショーを詳細レポート!【前編】


SEMA SHOW 2018


全米最大規模のカスタムの祭典が、ラスベガスで開催されるSEMA SHOW(セマショー)だ。アメリカはおろか世界各国から様々な製品やクルマ、カスタム手法が集まり、ここ日本での「未来のカスタムトレンド」を示唆させるものが少なくない。未来のシーンを想像する意味で、今年のSEMAの表情をお伝えしよう。



全米最大規模であり、世界最大級とも言えるカスタムカーの祭典が、毎年、ハロウィンの頃にラスベガスで開催されるSEMAショーである。この地での発表を目標として、アメリカ全土はおろか、世界中のメーカーやショップ、ビルダーが大挙して押し寄せ、それを求めてバイヤーやセラーがやってくる。集うクルマや製品は、世の中のトレンドを反映したもの、あるいはこれからブームが沸き起こりそうな気配を感じさせるものばかり。この地は新たなムーブメントが創出される場である。情報は電波の波に乗って瞬時に世界中を駆け巡る時代になった。ここで認められることは、世界で認められるということかもしれない。

基本的には「B to B」のビジネスの場である。そもそもウイークデイに開催されるし、幕張メッセの約三倍という途方もない大きさのコンベンションセンターの中までは、一般人が入ることはできない。もっとも会場の外にしても、あらゆる車種やカテゴリーのクルマが展示され、デモンストレーション走行や音楽ライブ、トークショー、フリーマーケットなど多種多様のイベントが開催される。このお祭り騒ぎを見ていると、ビジネスとエンターテイメントとが深く結びついた、いかにもアメリカっぽいトレードショーだと再確認する。



あらためて、52回目となる今年のSEMAショーを振り返ると、アメリカの土着文化を色濃く感じさせるものが増えていた。天高くそびえ立つかのような車高に、ゴツくて巨大なオフロードホイールを履かせたSUV&ライトトラック系であり、またはヴィンテージ・クラシックやホットロッド、ローライダー、スピードマシンなど多種多様な世界が拡がるアメリカの伝統芸的なヒストリック系である。ここ数年はずっとそうした傾向にあったが、今年はさらに勢いが増したようだ。

それらは確かに迫力満点だったり、ため息が出るほど美しいものばかり。見ていて飽きないし、アメリカのカーカルチャーの奥深さを感じさせる。しかし、直接的に日本へ持ち込んだり、カスタム手法を提案するのは難しい。気持ちいいほどフェンダーからはみ出したタイヤは、日本の法規制では非現実的だし、なにしろ狭苦しい交通環境では持て余すような巨大なクルマばかり。ヴィンテージ・クラシック系にしても、ありとあらゆる部品とサービスが揃っているアメリカでなければ、成立させるのは難しい。

それでも、事細かに見ていくと、製品自体やコーディネイト、カスタム手法は、日本でも参考になるようなアプローチが決して少なくない。SUV&トラックは、日本でも現実的な選択肢になりそうなものから、ちょっとした小技まで多種多様なものが見受けられた。さすがはフルサイズバン、ミニバンの本拠地だと感じさせるようなワゴン系カスタムも増えている。かつて一斉を風靡したヨーロピアン・ラグジュアリー系は少し影を潜めたものの、ただ豪華さや迫力を訴えるものが消え、本当に上質でクオリティの高いものが残ったようだ。

さらに、日本の自動車メーカーやパーツメーカー、カスタムブランドは、とびきり元気で注目を浴びていたのが印象的だった。日本発信の改造文化や、あるいはハイクオリティな日本の製品が、アメリカの地に染まりながら独特の存在感を発揮していた。規模を見るとアメリカのメーカーや、中国を筆頭とするアジア勢には叶わないものの、「メイド・イン・ジャパン」の魅力はSEMAの地でしっかりと認知され、しっかりとブランド化されていた。

ここでは、とびきり新鮮でハイクオリティ、なにより個性的なクルマや製品を、少しばかり切り取ってみたい。巨大なSUV&トラックやアメリカン・ヒストリックだけがSEMAの姿ではないことを再確認できるようなカスタムアプローチをお届けしよう。


半世紀以上の歴史を持つトレードショー




「カスタムカーの祭典」といって思い浮かぶのは日本で定着する東京オートサロンかもしれない。しかしアメリカには52年も続くSEMAショーがある。一般人のためのイベントというよりも業者の集うトレードショー(自動車パーツ見本市)。根底にあるのはアメリカ車とそれに伴うカーカルチャーであるものの、今や世界中からメーカーやビルダー、ショップが出展し、それらを求めてバイヤーやセラーがやってくる。日本の自動車メーカーやパーツメーカーにしても、SEMAへの進出をキッカケにして世界的に認知されていく例が増えている。


増殖した“超アゲ系”カスタム














ここ数年、アメリカンSUV&トラックの“アゲ系”が加速度的に増加している。気持ちいいほどリフトアップして馬鹿デカいオフロードタイヤ&ホイールを組み合わせたSUV&トラックは、アメリカならではのカスタムアプローチなのは間違いない。展示するだけの見世物だと思った個体が、ショーの後に自走で帰っていく姿を見ると、あらためてSUV&トラックのカスタムカルチャーが根付いていることを感じさせる。これらが日本の主流となるのは、法規制および交通環境的に難しいだろう。しかし一部をうまく取り入れたようなブームが来る可能性は充分にある。“非現実的”から“比較的現実的”に持っていくため、日本の名ビルダーたちはすでに注目している。



スタイルワゴン2019年1月号より


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