お悩み エンジンルームの方からコトコト音があるのですが……
診断 アッパーマウントと思ってる人も多いですがロアブラケットやスプリングシートが原因で異音がしていることが多いんです
車高調を組んでいるユーザーにありがちな悩みが、エンジンルームから聞こえてくるコトコト音。上の方から音が聞こえてくるので、アッパーマウントの緩みを疑いがち。しかし、いざ確認してもナットはちゃんと締まっている……。そんな相談がテインにも数多く寄せられるとか。
「サスペンションの異音は、ロアブラケットやスプリングシートの緩みが原因なことも意外に多いんですよ」と教えてくれたのは、テインの石山先生。
特にステアリングを切ると一緒に車高調(ブラケット)が追従するストラット車は要注意。ブラケットが引っ張られて、スプリングシートが緩むほうにテンションが掛かってしまう。しかも最近のクルマはスタビリンクなどにより、一緒に固定されているからなおさら。構造的にブラケットが緩みやすいことは否めない。
そのためストラット車のロアブラケットは、かなり高い締め付けトルクが要求される。DIY派にとってはこれが落とし穴で、車高調レンチで力いっぱい手締めした位では、とても規定トルクに達しない。距離を重ねるうちにだんだんロアブラケットやスプリングシートが緩んでしまい、異音の発生に繋がるケースが多いのだとか。
では、なぜ上の方からコトコト音が聞こえてくるのか? それはダンパーを伝わって異音がするから。トラブルシュートしにくいのはそのためで、上から音がするからといって、アッパーマウントのナット緩みが原因と決めつけるのは早計なのだ。ロアブラケットやスプリングシートがしっかりと締まっているか? 定期的な点検を心掛けたい。
テイン石山先生
ブラケットを固定するロックシートは、厚くて大きいナット状なだけに、かなりシッカリ締め込まないとだんだん緩んできてしまいます。特にハンドルを切ると一緒に足まわりも動く、ストラット車は要注意。思い切って手締めした位では、規定の半分位のトルクしか掛かっていない…ということも多いです。またブラケットにマイナスドライバーを当ててトンカチで叩いても、大したトルクは掛かりません。ジワッと締め込まないとダメなんです。そこでウチの車高調レンチは、トルクレンチを掛けられる造りにしています。スプリングシートやロアブラケットはこうした工具を使い、規定トルクでシッカリと締め込んでくださいね。
FRONT
大きな入力を受け止めるアッパーマウントはナットも緩みがち。またピロ圧入タイプのアッパーマウントはピロの寿命で異音が出るケースも。
アッパーマウント
※他車種の写真です
スプリングシート/アジャストシート
スプリング&アジャストシートの緩みもありがち。車高調レンチが掛けにくいため、必要トルクで締め込んでいないユーザーが多い。ただしムリに締め過ぎるとロックシート割れなどのトラブルに繋がる恐れもあるので注意。
ロアブラケット取り付け部
ロアブラケットの締めつけトルクは想像以上に高め。ただし車種ごとに異なるので整備書などを見て規定トルクで締め付けることが肝心だ。
REAR
アジャストシート
バンプラバー
純正バンプラバーをカットして装着するモデルもある。取説を読まずにそのまま付けるとバネの座りが悪く、異音の発生に繋がることも。
ショック取り付け部
運転席から離れている&内張りに隠れるリアの異音は気付きにくい。後部座席に座ってもらい、異音が出ていないか確認してもらうのも手だ。
異音の発生箇所をチェックしてみよう
規定トルクで締め込むと音が消えることもある
足まわりの異音に関する悩みは、規定トルクで締め込むだけで解決するケースが多い。特にスプリングシートやロアブラケットが怪しい。異音が出たらまず緩んでないか確認したい。
ダストブーツの変形も要注意!!
小石や砂ぼこりの侵入からダンパーを守るための役割を果たしているダストブーツ。トラブル予防のためのパーツだが、ひとつ間違えるとこれが原因となってトラブルに繋がることもある。ありがちなのは、ブーツの蛇腹部分が潰れたまま装着してしまい、これがフルバンプ時にスプリングに引っかかってめくれ上がり、ロッドとダンパーのすき間に咬み込んでしまうケース。ヘタをするとオイル漏れの原因になるというから注意が必要だ。車高を調整したりタイヤ交換をする際などには、ダストブーツが正しく装着されているかも点検しておこう。
正常な状態
変形している状態
車高調をキレイに洗浄したりダンパーのオイル漏れをチェックするために、ダストブーツに触った際に蛇腹を潰してしまうひともいる。ダストブーツの潰れがないかはもちろん、しっかりとダンパーに掛かっているかも確認しておきたい。