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実働車として現存するのはこの1台だけ! 乗用デリカの歴史、ここに始まる!!|コーチデラックス【T120C】


現存する実働車はこの1台だけ!


国産初の9人乗りキャブオーバー型ワゴン



ちょっと調べてみたところ、日本のキャブオーバー型バン/ワゴンというのは、どうやら1960年代後半にひとつのカテゴリーとして成立したようだ。その先陣を切ったのが、マツダボンゴで66年に登場。すると、翌67年にはトヨタがミニエースを、68年に三菱がデリカを、69年に日産がサニー/チェリーキャブを発売…と、各メーカーがマツダに追従することになった。

デリカの登場は68年だけど、T120Cコーチ(ワゴン)発売は69年。ライバルたちの排気量が軒並み800cc~1ℓだったのに対して1・1ℓ、さらに同じ3列シートながら唯一、乗車定員9名(ミニエースは7名、ボンゴとサニー/チェリーキャブは8名)という2点がデリカコーチの大きな売りだった。

そんなデリカコーチは71年にマイナーチェンジ。車名がデリカ75となり、フロント&リヤ周りを中心に外装デザインが見直されたけど、それより1・4ℓエンジンの搭載に注目だ。“ネプチューン86”と呼ばれる直4OHVの4G41型は、直後にスポーツモデルのギャランFTOにも載せられたシングルキャブ仕様そのもの。当時はよほど高性能だったのか、フロントエンブレムにも確認できる“

86”は最高出力を示す。取材車両はその4G41型エンジンを載せたマイチェン後のデリカ75コーチ、しかも上級グレードのデラックスで、2オーナー目となる澁谷さんがもう40年も所有。まぁ見かけないクルマだと思ったら、これ以外に国内で存在が確認されてるのは1台だけ(書類付きだけど不動車)で、当の三菱自動車や自動車博物館にもないという。つまり、ナンバー付きで走れるデリカコーチは国内で…いや、世界でも澁谷さんの1台だけなのだ。こりゃスゴイ!!当然、これほどのネタが放っておかれるはずもなく、三菱自動車公式HPの『10年10万㎞ストーリー』を始め、パジェロ&デリカマガジンやホリデーオート、ドライバーなど、これまで掲載された媒体も多いという。

本来2トーンとされるボディカラーは澁谷さんの好みで黒にオールペン。バンパーやホイールは白に塗装される。というか、実車を前にすると全長3860㎜、全幅1540㎜というサイズで、よく3列シートの9人乗りを実現したなぁという感想しか出てこない。でもって、多少は狭いかもしれないけどムリクリな9人乗りでなく、「これならオトナでもちゃんと乗れるよね」と思えるスペースがしっかり確保されている。

ステアリングを抱え込むようなポジションの運転席に収まってみる。デラックスとはいえ装備は必要最小限で、メーターやスイッチ類も非常に簡素。ひさしぶりのコラムMT車だ。手前上が1速、その下が2速…とシフトパターンを頭の中で復唱してから走り出す。さすがに排気量1・4ℓじゃツライだろ? という予想に反して力強く加速。もっとも1速は4・019と超ローギヤード(で、ファイナル比も5・286)だから、一瞬グッと前に出たらすぐ2速に入れる感じ。停止状態からの動き出しが軽いと思ったら車重はたったの990㎏で、澁谷さんによれば、「普段は2速発進でも大丈夫」とのことだ。タコメーターがないから正確にはわからないけど、感覚的に3500~4000rpmくらいでシフトアップしてくと50㎞/h前後で4速に。ギヤリングの低さもあって60~70㎞/hならトルク感はあるし、そこからアクセルペダルを踏み込んでも気持ちよく前に出る。

のどかな風景の中をトコトコ走るデリカ75コーチ。ステアリングを握りながら思わず仕事を忘れ、昭和な気分に浸ったことは言うまでもない。




“ネプチューン”の愛称を持つ1.4ℓ直4OHVの4G41型エンジン。シリンダーヘッドの素材には、放熱性や冷却性に優れるアルミ鋳造用合金シルミンが採用される。また、キャブレターには2バレルシングルが組み合わされ、インマニを排気加熱式半独立タイプとすることで燃焼効率の向上も図られている。





フロントガーニッシュに装着されたエンブレムが86psのネプチューンエンジン搭載をアピールする。“8”の上の丸が星形になってるのは、おそらくネプチューン=海王星に引っかけたであろう遊び心だ。ガーニッシュ中央部はレバー操作で開閉でき、室内の換気を促すベンチレーターとして機能する。



リヤゲートはキーシリンダーを兼ねるボタンを操作してのプッシュオープン式。メッキ仕上げとなるバーハンドル部が時代を感じさせるが、しっかりデザインされていることに思わず感心。



上級グレードのデラックスはダッシュパネルが木目張りとされ、助手席側グローブボックスもフタ付きになる。ステアリングホイールはナルディ製ウッドに交換。ダッシュボード上には年代物のデジタル式時計が装着される。当然エア

コンレスのため、助手席の足もとには扇風機が。メーターは独立2眼タイプで、右に140km/hフルスケールのスピードメーター、左に燃料計と水温計が並ぶ。警告灯はエンジンオイルとオルタネーターの2つだけとシンプルだ。



コーチはグレードを問わず2トーンのシートを装備。黒単色のライトバンやルートバンと差別化される。2列目は奥2人掛け+手前1人掛けで、ベンチシートの3列目にアクセスするため手前のシートは前倒しできるようになっている。2-3列目にスライドやリクライニング機構はなく固定式。スライドドアの開口部有効幅は940mm、室内高は1185mm。



現行スイフトスポーツに比べて全長が30mm短く、全幅は200mmも狭い…というと、初代デリカコーチの大きさ(小ささ)がわかるはず。いくらキャブオーバー型で衝突安全に対する意識が薄かった時代のクルマとはいえ、これで3列シートを実現していることには驚くしかない!本来はセンターキャップが付く純正スチールホイールはオーナーが白く塗装。タイヤは165/80R13サイズのファイアストンFR10を履く。


SPECIFICATIONS

●車両型式:T120C

●全長×全幅×全高:3860×1540×1795㎜

●ホイールベース:2120㎜ トレッド(F/R):1250/1230㎜

●車両重量:990kg

●エンジン型式:4G41

●エンジン形式:直4OHV

●ボア×ストローク:φ76.5×75.0㎜ 排気量:1378cc 圧縮比:9.0:1

●最高出力:86ps/6000rpm 最大トルク:11.7kgm/4000rpm

●トランスミッション:4速MT

●サスペンション形式(F/R):ダブルウィッシュボーン/リーフリジッド

●ブレーキ:FRドラム

●タイヤサイズ:FR5.50-13-6PRLT


実はダブルキャブトラックも所有!



5年におよぶレストア作業を経て公道復帰した73年式デリカダブルキャブトラック(T120W)。75コーチ同様、ナンバー付きで自走可能な国内唯一のクルマだったりする。クルマの脇に立つのは澁谷さんの息子、央(ひろし)さん。さらに、澁谷さんはポップアップ式ルーフを備えたキャンパー仕様の2代目スターワゴン2400 4WDエクシード(P24W)も所有する。


デリカパーフェクトブック 2019年11月11日発売号 より



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