先日8月7日にも浅間山が噴火し、噴火警戒レベル3になりましたが、日本でクルマを持っているとたまに気になるのが、クルマに積もった火山灰はどう処理したらいいのか? という疑問ではないでしょうか。
ここでは、普段あまり降灰がない地域に向けて、火山灰のついた外装についての対応の注意点をかいつまんで紹介します。
クルマに積もった火山灰を取り除くには?
注意するポイントは、2つ
・火山灰はクルマのガラスやボディより硬い
・火山灰は水があるとその場で固まったり、火山灰同士がくっついたりする
火山灰は、名前に「灰」とつくので勘違いしやすいですが、燃えカスというより岩石などのかけらのようなものです。
火山内部にあるマグマ由来のガラス(が空気中で冷えて割れ、トゲトゲバリバリになったもの)や鉱物、噴火した際にともに噴き上げられた火口付近の岩石などがその成分です。
なので、火山灰は基本的に自動車のガラスやボディよりも硬いものでできているという考えるべきです。
ですから、クルマに積もった際も、拭くという行為はNG。
ちょっと違いますが、いうなれば、細かいけれど尖った砂をボディにこすりつけるてしまっているようなものです。
もしくは、拭くという動作イコール、紙やすりでこすっているようなもの。
たとえば火山灰が積もったままのフロントガラスにワイパーをかけてしまったら……ワイパーの軌跡どおりに筋状の線傷がつくか、最悪の場合、ガラス全体が曇ってしまうということにも。
それではどうしたらいいのでしょうか?
ベストはエアで落とす。次善策はたっぷりの水で流す
できることなら、落とした火山灰を回収できる環境でブロアーなどからのエアーで吹き飛ばし、必要に応じて、その後後述するようにたっぷりの水を使って洗車をする。
その後に落とした火山灰を回収するというのが理想です。
しかし、一般家庭でブロアーがあるご家庭は少ないと思います。
次善策としてはたっぷりの水で洗い流し、クルマから流れ落ちた火山灰を集めて回収するということになります。
イメージとしては、屋根上から大量の水で途中でとどまらないよう流し切るように。
高圧洗浄機も有効ですが、乾燥してみると落ちていない部分が残っているということもあるので、慎重に行います。
流し残しは水分で固まる
雪のように融けてはくれない
また、火山灰のタイプにもよりますが、少量の水を部分的にかけて流すと、その下流の部分で固まってしまう可能性があります。
注意が必要なのは、車体にある水抜き穴などの細い排水ルートに火山灰が集まって固まってしまわないよう、そういった部分にも意識して強い水流を当ててやることです。
火山灰は白っぽく降り積もっても、似たような景色になる「雪」のようには融けません。
流し残しは、いずれそこで固まりますので、手が届かないところに火山灰が留まると厄介なことになります。
次ページでは予防策と火山灰の廃棄方法などについてご紹介しますボディに降り積もる火山灰、その被害を減らす方法はないのでしょうか? またクルマから落とした火山灰の廃棄方法はどんな方法なのでしょうか? 続けます。
予防策は?
ボディコートなどが有効な場合も
風向きから火山灰の降灰があるとしても、噴火地から遠方であれば、到達する前に屋内へ待避させる、ボディカバーをかけるなどの予防ができればベストです。
しかし、誰もがそういったケアができるものではありません。
ボディに降り積もる前提で考えるなら、ボディコートを施工しておくのは部分的ではありますが有効かもしれません。
硬度の高いことを売りにしているボディコートもあるようです。
ただし、コートがかかっていない部分が傷つきやすいのは変わりませんし、流し落とす際の注意も変わりません。
火山灰の回収はどうする?
側溝などに流さず集めること
本来、降灰の頻度の高い自治体では、火山灰は排水溝に流すなどせずに集めておき、他のゴミとは分けて個別にビニール袋などに入れて回収するものです。
というのも先述の通り、火山灰は水分があると固まってしまうので、排水溝の中で固まってしまったりして、排水機能に損害を与えかねないからなのです。
クルマの火山灰を落とす際も、吹き飛ばしたり流したりした火山灰は回収し、自治体の定めた方法で処理する必要があります。
ちなみに濡らした火山灰は固まりやすいので、スコップなどで集めやすくなります。
ちりとりなどと一緒に用意しておくと作業がしやすいかもしれません。
また、作業時は周囲に舞い上がった火山灰を吸い込むなどしないよう、マスクなど防御策も施しておきたいところです。
また、ここでは触れませんでしたが、火山灰降灰時の運転については、路面が滑りやすくなった際の走行・停止方法、走行後のエンジン機関系のメンテナンス方法(吸気関連や、熱を持ったブレーキなどの部分へ付着した火山灰の処理)など、ほかにも留意すべき点があります。
それらを含めて、作業はよく情報を集める、必要なら問い合わせるなどし、自己責任でお願いします。
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ_古川教夫(写真・文)]