2019年3月5日。約1ヶ月前のことになりますが、ルノーの主力モデルの一つ「クリオ」の5代目モデルがジュネーブ・モーターショーでデビューしました。日本では商標の事情で「ルーテシア」として販売されているこのクルマ、実はヨーロッパ・Bセグメントで販売トップ、全クラスでもフォルクスワーゲン・ゴルフに次いで第2位、フランス国内では不動の1位となる大ベストセラーモデル。モデル末期になってもこれだけの販売数を維持していたあたり、ルノーは小型車を作ることについてよく「わかっている」のでしょうね。新型にかかる期待も大きいですが、さてどんな仕上がりになっているのでしょうか?
そんなクリオの先祖に当たるモデルが、ルノー・5(サンク)です。サンクは大きく分けて第一世代と第二世代が存在しますが、今回紹介するのは第二世代のモデル、通称「Supercinq(シュペールサンク)」。小さくてキュートな、このクルマの魅力を改めてお伝えしたいと思います。
キャトルの基本構造を受け継いだ第一世代
シュペールサンクの話をするためには、やはり第一世代モデルの5(サンク)にも触れないわけにはいきません。サンクが登場したのは1972年。発表されるや否や、ヨーロッパで瞬く間に大ヒットを記録しました。ヒットの訳は、高い実用性と優れた乗り心地、そして先進的なデザインです。角形のヘッドライトに樹脂製バンパー、斜めに切り落としたようなリアエンドは、保守的だったルノーのデザインを一気に若返らせました。
サンクが登場した当初は3ドアモデルしかありませんでしたが、これはフランス車としては大変珍しい特徴でした。シトロエン・2CVしかり、ルノー・4しかり、それまでのフランス車はどんなに小さくても4ドア、もしくは5ドアを備えていることが常で、3ドアのクルマはほとんどなかったのです。その点、3ドアハッチバックが長らく基本形で、5ドアハッチバックが後になって生産されるようになったドイツ車とは対照的ですね。