変わりやすい天気の続く、3月も後半に入ったドイツの首都ベルリン。街の所々にある公園では、日本から持ち込まれた梅や桜が開花の兆しを見せる中、気温は未だ10度前後の寒い日が続いています。せっかくカブリオレに乗って外出するも、突然降り出す雨に慌てて幌を閉める様子もしばしば。3月の終わりにはもうサマータイムが始まりますから、街の人々も「春が待ちきれない!」という感じで、なんとなくそわそわした雰囲気です。
今回ご紹介するクルマも、せっかくのカブリオレにもかかわらず、不意の小雨の下でひっそりと幌を占めて駐車していました。近年ヨーロッパでも再評価の機運が高まり、じわじわと値上がりしているプジョー205シリーズ。そのカブリオレモデルである「205CTI」の魅力に、今改めて迫ります。
プジョーを救った救世主
プジョー205といえば、言わずと知れた1980年代前半から1990年代後半を代表するコンパクトカーです。ピニンファリーナとプジョーの合作の、美しく流麗なデザインのハッチバックは、1983年に発売されるや否や瞬く間に市場を席巻。1998年に生産を終えるまでに、全タイプ合計で約527万8千台を売り上げる大ベストセラーとなりました。
1970年代まで、プジョーはどちらかといえば「地味で堅実だが、質の良い実用車を長いスパンで生産する会社」というイメージで、かつ1970年代末には深刻な赤字経営に陥っていました。プジョー205は、たった1車種でブランドイメージを一気に若返らせ、優れた販売実績でプジョーを赤字から救う立役者となったのです。