ボクがいつも思うことがある。 それは、いい年をしたオッサンが、欧州のスポーツカーに乗ると「いい趣味をしている」と言われたりするのに、日本のスポーツカーに乗っていると「若作りしている」となることだ。
想像してみて欲しい。 たとえば、中年男性がアルピーヌA110やポルシェ・ボクスターに乗っている姿を見るとどうだろう。 なんとなく優雅な生活を送っているように思えないだろうか。
逆に、中年男性がホンダS660や、シビック・タイプRに乗っていたらどうだろう。
「結婚せずにクルマにお金を突っ込んでいる」
「ほかにやることがないのかしらね」
「いい年して若い人が乗るようなクルマに乗って」
などと陰口を叩かれるに違いない。
クルマからは説明できない、何らかのオーラが出ているに違いない
これはいったいなぜなのか?
アルピーヌA110やポルシェ・ボクスターはシビック・タイプRに比較すると「地味」だからだろうか?
いや違う、とボクは思う。 実際に、シビック・タイプRよりも派手なフェラーリ488GTBや、ランボルギーニ・ウラカンにオッサンが乗っていると、「いい年して」と言われるどころか、「どこかの社長さんかしらね」と言われるのではないだろうか。
仮に、オッサンがコルベットやマスタングに乗っていたらどうだろう。
「すげえなあのオッサン」「オレも年を取ったらあんな風になりたいものだ」と思われるかもしれない。
となると、「派手なクルマだから」それにオッサンが乗っていて叩かれるわけではなさそうだ。
では「サイズ」だろうか。
これも違う、とボクは考えている。 たとえば、オッサンがフィアット500や、アバルト595に乗っているとしよう。 それを見てネガティブな印象を持つ人は少ないはずだ。
「今日は趣味のクルマの日なんだな」
「普段はメルセデス・ベンツにでも乗っているんだろう」
「昔はさぞかしヤンチャだったんだろうが、今は落ち着いたんだな」
と思われるかもしれない。
つまり、サイズが小さいクルマにオッサンが乗ると否定的に捉えられるわけではないし、派手な車だからといって「クルマバカ」だと思われるわけではない、ということだ。
しかし、日本のスポーツカーで、小さかったり、派手だったりするクルマに乗ると、世間はそのオッサンに対してあまりいいイメージを持たない。