ボクは試乗が大好きだ。
ボクが試乗を行う理由は2つある。
1.単に購入の候補としてそのクルマに乗ってみる(乗ってみたい)場合
2.具体的に購入を考えていないとしても、そのクルマに採用されている技術に興味を持っている場合
である。
自分で運転してはじめて理解できることがある
1つ目の理由「購入の判断」について、目的はいたって簡単だ。
そのクルマを買っても問題がないかどうかを判断するために乗る。それだけだ。
ただし、これはかなり重要な行為であり、クルマには「乗ってみないとわからない」ことがたくさんある。
つまり「数字や見かけだけでクルマは判断できない」ということだ。
たとえば「人」も同じだと思う。
人は数字だけで判断できず、たとえば「身長190センチで、体重85キロの男性」というスペックだけを見て、バスケットボールを得意だと判断するのは早計だ。
同様に、「190センチで体重150キロ」だからといって相撲が強いとは限らない。
「数学のテストで100点」を取る人が「勉強ができる」「数学が得意」と断じることもできない。
もしかするとほかの教科は弱いかもしれないし、数学が苦手なのを克服しようと努力した結果の100点かもしれないからだ。
同様にクルマだって、「0-100km/h加速」が3.5秒だからといって「速いクルマ」だと言い切ることは出来ない。
たしかに3.5秒は速い。相当に速い。
だが、それはマニュアル・トランスミッションで達成される3.5秒なのか、ATで「アクセルを踏むだけ」で達成される3.5秒なのかによっても意味は異なる。
たとえば、メルセデスAMG最上位サルーンであるS63 4MATIC Longの0-100km/h加速は3.5秒だ。
対してメルセデスAMG渾身のピュアスポーツカー「GT」シリーズのトップレンジ、AMG GT Rの0-100km/h加速は3.6秒である。
しかし、AMG S63 4MATIC LongのほうがAMG GT Rよりも速いとは言い切れないのだ。
速さとは単に加速のみで語られるものではないし、「0-100km/h」に至るまでの過程、つまり「加速前半や出だしが速いのか」または「後半の伸びがスゴいのか」によっても速さの質は全く異なる。
さらに「サーキットでの”速さ”」という観点だと、また違った見方もできるはずだ。